りょうすけ

野性の葦のりょうすけのレビュー・感想・評価

野性の葦(1994年製作の映画)
3.3
「野性の葦」

初アンドレ・テシネ監督作品。アルジェリアがフランスから独立しようとしていた時代のフランスの田舎町でのお話。大学入学のための試験、恋、アルジェリアにルーツを持つ少年など、20歳前後の青少年たちの心を揺らがせる出来事を描いた作品。

全くどんな話か知らないで観たけど、心情描写が非常に美しかった。主人公の少年フランソワはガールフレンドがいるにも関わらず、学校の男友達セルジュと性的な関係を持ってしまう。主人公の少年とその相手の少年の関係、ガールフレンドとの関係、そしてアルジェリアにルーツのある少年アンリとの関係、全てが美しいし惚れ惚れする。舞台がフランスの田舎町なこともあって、風景も美いし、視界に映る全ての情報が美しいように感じた。

この当時のフランス、アルジェリア情勢について知らないと、よくわからない発言があるので、そこのところは注意が必要だが、若人4人の青春ドラマだと思えば、楽しめないことはないと思う。

しかし、映画としては退屈でもある。物語としての見せ場が前半に集約されていて、そこからは特に何事もなく物語が進むので、最初の1時間以降は結構どうでもいい話だった。前半だけなら80点、後半は50点、平均して65点の映画といったところだろうか。

「死ぬまでに観たい映画1001本」のうちの1本なので出会えた作品だが、そうでなければ出会うことはなかったかもしれない。
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