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ドイツ零年のTSのレビュー・感想・評価

ドイツ零年(1948年製作の映画)
3.5
【戦後社会の闇】
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監督:ロベルト・ロッセリーニ
製作国:イタリア
ジャンル:戦争
収録時間:75分
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『無防備都市』、『戦火のかなた』に続くロベルト・ロッセリーニの戦争三部作の一つです。ネオレアリズモという撮り方で、戦争の悲惨さを戦争直後の舞台で描きます。ドキュメンタリー的に撮られているので、あたかも本当にあった出来事を映しているみたいに見えます。しかし、今作のように頭を抱える家族は当時かなりいたのでしょう。

戦後のベルリン。12歳のエドモンドは、病気の父やある事情で定職に就けない兄などの代わりに仕事をして生計をたてるが、15歳ではないと発覚したため、「仕事泥棒」と言われ追放されるのだが。。

父親が病気で常に死にたいと言っているのがポイントです。このどうしようもない中、父を助ける術はあるのか?少ない収入の中、エドモンドは様々なことを考えます。そしてその行為に至ってしまったのには、やはり戦争が影響していると言えます。結局誰が悪いのか?となってしまいますが、このような行為をさせた戦争が全ての根源であると言えます。

『自転車泥棒』でもそうでしたが、果たして主人公が悪かったのか?今作も同様で果たしてエドモンドが悪かったのか?そのような問いを投げかけられて、結果的に戦争というものが彼らを変えてしまったと言えるようになります。

そのような強烈な現実を描いたのが文字通りのネオレアリズモであり、貴重な作品の一つだと思われます。この系統の作品は、ラストにどうしようもない切なさを感じてしまいます。つまり、かなり考えさせられる作品と言ってよいでしょう。

今では決して撮れない、戦後直後だから撮れた作品の一つだと思われます。何故なら、演者はリアルに戦争を経験しているからです。戦争を経験した人からの話と、そうでない人からの話のどちらが説得力があるかと言えば明らかなのと同じです。

『戦火のかなた』は未見ですが、近々見てみたいと思います。70分ほどしかないので手短に見れるので是非。
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