Siesta

上海から来た女のSiestaのネタバレレビュー・内容・結末

上海から来た女(1947年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

結構、複雑で密度が高くて、序盤からずっとしっかりとセリフや細かい部分を見ていないと置いていかれる それこそ、リタヘイワースの美貌に見とれていると、マイケルと同じ罠に嵌ってしまう
本当にまずはリタヘイワースの悪魔的魅力 まさにザ・セックスシンボル 白黒映画の美女のイメージそのまま 今やショーシャンクの空にで出てくるポスターの女優という方が印象が強くなってしまったかもしれないが、この美貌の放つ誘惑が有無を言わさぬ説得力を持つ
冒頭、ナレーションでポンポンと出会いが語られ、共に豪華ヨットでの航海へ 道中のピクニックはつまらないもので、エルザとの距離も近くなっていく どうやら当初の長さから相当カットされているらしく、だから分かりづらさもあるのかとは思うし、ヨット上のギルダがいて、アーサーがいて、お手伝いの黒人がいて、航海士たちがいるというあのヨット内の階層とのリンクとか、特にあのメイドのエピソードはもうちょっと掘り下げがあったのかなぁとか思う 正直、映画としてもっと“美味しい”ポイントだとも思う 裁判中のくしゃみとか意味あるのか?とか思ったけど意味なかったし あと、ジョージ、グリズビー、ブルームの区別がややこしい ジョージ・グリズビーとブルームなんだけど、どっちが殺された?的なところでも呼び方バラバラで混乱する
水族館でのキス 白黒映画は影と光の陰影が映えるから、こういう暗い空間がめちゃくちゃカッコいい ウディアレンのマンハッタンでも思ったけれど、ミュージアムとか暗い空間が一気にロマンティックになる
そして、ジョージの偽装殺人に加担することで大金を得てエルザと逃亡しようとするが、そこから目まぐるしく展開していく 直前にジョージがブルームを撃ってしまう ブルーム曰く、ジョージがエルザと親密になっていると思っているらしい おそらく、本当は2人が共謀していたということを匂わせるようなシーンがどこかで入っていたのかなと あそこでいきなりそう言われても、見ている側からすると、エルザとマイケルでは?ってなるし マイケルが予定通り偽装殺人を行うも本当にジョージは死亡 ジョージ、さらにはブルームも亡くなり手紙もあり本当に罪に問われることとなる 弁護人はアーサー アーサーが弁護士であり容疑者の証人でもあるというあのコントのようなシーンも印象的で面白い さらに、審判がくだるその時、薬を飲んで逃げ出す展開がめちゃくちゃ面白い 大衆が非常に滑稽に描かれる そこからのチャイナハウスでのエルザのカバンから拳銃を見つける そして、遊園地へ連れ去られるマイケル 上海から来た女という意味が分かる 上海の立場あるヤクザとかとそんなパイプあるなら、そんなことする必要あるのかなぁとか思ってしまわなくもないけれど ただ、やはり伝説のミラーハウスが素晴らしい 遊園地のアトラクションをくだり、ミラーハウスへ ミラーハウスでの何重にも映るエルザ、マイケル 人の顔の多さ、複雑な人間模様のメタファー そこに真実を知ったアーサーが現れる そして、アーサーとエルザはミラーに向かって撃ちまくり、共に息絶える 生きたいと嘆きながら、亡くなるエルザ、そこから立ち去るマイケル 映像が終始、カッコ良すぎる フィルムノワールの余韻 ナレーション始まり、ナレーション終わりの感じはめちゃくちゃサンセット大通りとも重なる 無実と愚かさは似ている 無実は罪に問われてこそと考えると、この無実という言葉には、リスクに突っ込む、気づかないというニュアンスも内包しているのかなあと思う
あと、オーソンウェルズが今のディカプリオとめちゃくちゃ似てる そんで作品はどことなくスコセッシっぽさも感じる、と思ったら、町山さんがディカプリオにオーソンウェルズを演じてほしい、監督はスコセッシで、と懇願するツイートあってめちゃくちゃ納得した そう考えると、ディカプリオって生粋の映画スターよなぁ ジェームズディーン、リバーフェニックスに次ぐ美青年スターからオーソンウェルズ、ジャックニコルソンに次ぐ怪物俳優へ 映画史に選ばれた映画スターなんだろうなぁ
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