ダンクシー

ニューヨーク1997のダンクシーのレビュー・感想・評価

ニューヨーク1997(1981年製作の映画)
3.9
「スネーク・プリスケン 話は聞いてる 死んだはずだ」

メタルギアソリッドの"スネーク"のモデルとなった男。
悪人達からも有名な特殊部隊出身の終身刑の囚人、スネーク・プリスケン。眼帯をして、ロン毛で、お腹には蛇のタトゥーが入っている。ザ・中二病みたいな設定だ。
そんなスネーク・プリスケンが恩赦を条件に24時間以内に大統領を救う任務をするというお話。大統領を救えなかったら死んでしまうので、とてもスリリング。

実際、映画が制作された1981年当時からニューヨークでは犯罪発生率の高さが社会問題になっていた。カーペンターが題材に選んだのもその影響が大きいだろう。

そんなニューヨークを構成する州の一つであるマンハッタン。マンハッタンはハドソン川の中州に位置する。北米大陸と行き来できるのは橋だけ。それらの橋さえ渡れなくしてしまえば、マンハッタン島は孤島になる。
この視点が、とてもカーペンターらしい。場所選びが完璧だね。更にアメリカ(ニューヨーク)を象徴する"自由の女神"が、まるでマンハッタン島の犯罪者たちを監視しているようだ。デカすぎる通信機も地味に面白かった。

「あなたの救出で多くの人が死んだがそれをどう思います?」
「感謝している。国家の尊い犠牲だ」

ジョン・カーペンターは、独特のアイデアからなるシュールな世界観と退廃的な雰囲気を保ちつつもどこかユルい娯楽映画を撮るセンスが抜群に高い。そして自身が作曲したシンセサイザーのBGMも作品を構築する要素として大きい。
しかし、その分欠点としてオープニングからラストまでずっと同じテンションで展開されていくので平凡な印象を与えがちなのだ。
でも、そこに魅力を感じてしまったら最後、沼にハマってしまうのだ。ワタシが正にそうです…。ユルく展開されてくのに、画面から目が離せなくなる。

ストーリーも映像もだけど、ラストまでも超最高なのがカーペンター。カセットテープがここで効いてくるとは。恐るべし、無駄がない。どの作品もやっぱラストってムズいよねって結構感じてしまうのだが、カーペンターの作品のラストはどれも気持ちいいね。
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