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鉄道員(ぽっぽや)のsumiccoのレビュー・感想・評価

鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)
4.3
職場で途中まで観て
これはダメだと悟り
残り20分は自宅にて鑑賞。

うん、予期通りの滝泣き(笑)


邦画として
素晴らしいと思います。

お寺も琴も桜も歌舞伎も
寿司も芸者も何にも映さず
ただひたすらに
雪と駅と駅員の画。

それなのに
"日本を収めきった" ぐらいの
胸いっぱい感があるんですよ。

ついこの間
堤真一って機嫌を表現するのうまいな
って思ったばっかりなんですけど

高倉健、
ちっとも感情的じゃないのに
表情のちょっとした変化と間合いで
観ている人の胸の内を溢れさせる
紛うことなき本物の役者ですね。

そして
色の少ないカットの中での
オレンジの使い方がすごく好きです。


そんな大絶賛の中で
実は両方なんですよ、
ほんと自分の中で賛否両論。

主人公の鉄道員について。

この実直で不器用で
どんな日も時間と職務を守る
The 昭和の寡黙な男、

国宝のような気がして
かっこいいとか憧れるとか
口をついて出そうになるんだけれども

だがしかーし!

それはあくまでも
隣のクラスの◯◯さんのお父さんであったり
親戚の叔母さんの旦那さんぐらいの
距離のある人だったらの話で。

令和の今観ると
奥さんに熟年離婚される典型的な男性像のため
20年前に観たときに感じた
"こんな夫婦になりたい" は
今となっちゃホラー思考(笑)

"絶対に無縁でいたい憧れ" という
パラドックスを生み出す一本でもありました。
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