ギズモX

続・荒野の1ドル銀貨のギズモXのレビュー・感想・評価

続・荒野の1ドル銀貨(1965年製作の映画)
4.7
ジュリアーノジェンマ主演の傑作マカロニウエスタン。
"南北戦争終結後の北軍の将校が故郷に帰ってきたら、町がメキシコの山賊に乗っ取られていた。自分の妻がNTRれた上にリンチを受けて右手を潰されたので、全てを取り返す為に奴らに復讐するぞ!"という西部劇史上最も熱い復讐劇。
タイトルは『"続"荒野の1ドル銀貨』となっているが、『荒野の1ドル銀貨』とは全く関係ない作品だ。

ストーリーは単純明快でテンポは遅いが、演出がオーバー気味なマカロニウエスタンの中でも本作は群を抜いてパッションが強い。
「"町でみすぼらしい男を見かけたらそれは俺だから助けてくれ"」
というこの上ないほど正直すぎるテーマソングから始まり、劇中ではマカロニ1のイケメン俳優であるジェンマのドラマティックな演技が大炸裂。そしてあのエンニオモリコーネによる音楽がその熱さを更に加速させ、復讐劇のお約束が詰めに詰め込まれている。
ジェンマはイーストウッドやリーヴァンクリーフ、チャールズブロンソンなどの芯のあるイカついタイプと違って弱さを抱えた男を演じることが多く、ジェームズディーンに似た情熱的な演技が素晴らしい。
自分の妻が知らない間に子供を産んでいたとジェンマが知るシーンでは、なんか地球が終わったかのような音楽が流れており、そのやりすぎ感には笑いすら起きてしまう。

正直なところ、他のマカロニウエスタンと比べて味方が多いこともあり、そこまでやる必要あるか?と思うものの、そのやりすぎな熱さは"失われたものを取り戻す!"という復讐劇のメインテーマと非常に合っている。
クライマックスで騎兵隊姿のジェンマが敵と妻の結婚式に乱入し、「俺は帰ってきたぞ!」と言い放つ場面には何度励まれたことか!
マカロニウエスタンにおける復讐の意味は憎悪の体現ではなく、自分が再び蘇る為の復活の行為なのだ。

映画はこれぐらいストレートに熱くてもいいと思う。
大好きな作品です。
自分を取り戻せ!
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