ナツミオ

疑惑のナツミオのレビュー・感想・評価

疑惑(1982年製作の映画)
3.8
WOWOW録画鑑賞
【没後30年 松本清張原作特集】

”私ね、あなたみたいなエゴイストで自分に甘ったれている人間、大嫌いなの"

“あたしだって、あなたみたいな女、嫌いよ!"

これは事故か事件か⁇
緊迫する裁判の行方⁈
被告と弁護士の女性2人の丁々発止‼️

松本清張の小説を2大女優、桃井かおりと岩下志麻の主演で映画化。
ある夫婦の乗った車が海に落ちて夫だけが亡くなり、保険金を得る女性に疑惑の目が……。監督は野村芳太郎。

受賞歴
・1982年度「キネマ旬報ベストテン」
第4位
・第6回日本アカデミー賞
優秀作品・優秀監督・優秀脚本・優秀主演女優(桃井かおり)・優秀助演男優(柄本明、鹿賀丈史)・優秀音楽・撮影・照明・録音賞(原田真一)受賞
・第37回毎日映画コンクール
日本映画優秀賞、脚本賞(古田求、野村芳太郎)
・第7回報知映画賞主演女優賞(桃井かおり)

英語題 『Suspicion』

1982年日本作品
監督 野村芳太郎
原作・脚色 松本清張
撮影台本 古田求 野村芳太郎
音楽 芥川也寸志 毛利蔵人
撮影 川又昴
出演 桃井かおり 岩下志麻 柄本明 鹿賀丈史 小沢栄太郎 山田五十鈴 丹波哲郎 中谷昇 森田健作 北林谷栄

(WOWOW番組内容より)
富山県。車が海中に転落し、乗っていた地元資産家、白河(中谷)が亡くなるが、同乗していた球磨子(桃井)は助かる。やがて球磨子が夫に3億円の生命保険をかけていたこと、恐喝や傷害の前科があることから、警察は球磨子による保険金殺人と見て彼女を逮捕する。何人もの弁護士が辞退した後、女性弁護士の律子(岩下)が国選弁護人となる。あばずれの球磨子とエリートの律子は半目し合うが、やがて開かれた法廷で律子は球磨子の弁護に集中していく……。

殺人容疑者の女と彼女を弁護することになった女性弁護士の間の確執を描く。
実際に起こった3億円の保険金をめぐる事件にヒントを得た松本清張の同名小説を映画化。その後、5回もTVドラマ化!

原作では、球磨子の弁護士は男性で、新聞記者を主人公にしているが、本作は名女優2人を軸に裁判が進んでいく。

やはり、“やさぐれ"感、満載の桃井かおり演じる白河球磨子と言う女性のキャラクターが面白い。桃井も、当初オファーに所属事務所は猛反対!

桃井自身は、「等身大の桃井ネタは尽きたと思っていたので、いっそすごく嫌な人とかダメな人を少し作って演じてみたい、とにかく演じたいという気持ちが強かったんですね。球磨子のような人だと思われてこそ大成功くらいの気持ちで、思いっきりやってみようと思ったんです」
(Wikipediaより)
なかなか、桃井の振り切った演技が面白い‼️

そして、球磨子の国選弁護人・佐原律子
を演じる岩下志麻の凛とした佇まいが対照的。
裁判は、検察側証人の発言でしょっちゅう紛糾‼️
そしてこれらの証人発言で、段々、球磨子は不利な立場となっていく。
特に球磨子が感情を露わにして、裁判は何回も中断。裁判官も呆れ顔⁈

脇役も曲者多し。
球磨子の元彼に、鹿賀丈史。
まだ若く、チンピラ感漂う。

球磨子の悪事を暴こうとする、新聞記者・秋谷に柄本明。

裁判で球磨子と争う、宗方検事に小林稔侍。
他にも脇を固める主役級俳優がゾロゾロと…

終盤の2人、球磨子と律子のワイン・バトル⁇が怖〜〜い‼️‼️

世間を敵に回しても、強かに生きていく球磨子という女性の怖さ、格好良さも感じた。














忘備録 (ネタバレあり)

【キャスト】(Wikipediaより)
・白河(鬼塚)球磨子
演 - 桃井かおり
恐喝・傷害などで前科四犯の悪名高い女。福太郎の3億円にも上る保険金の受取人となっている。弁護士はいるが、作中では保険金殺人で死刑判決もあり得ると知り、自身も六法全書を読んだ上で裁判に臨んでいる。子供の頃に養子に出されたり、ホステスとして働いたり、クラブ経営や福太郎に会う前に離婚歴などもあり波乱に満ちた人生を送る。

・佐原律子
演 - 岩下志麻
国選弁護人として球磨子の裁判を弁護する。本来民事裁判専門だが、弁護士として有能。裁判中も感情的な言動をする球磨子にも凛とした態度で対応する。証言者たちには、緩急をつけた話し方で証言の矛盾点を探る。離婚経験があり、娘のあやこと月に一度会うことを楽しみにしている。

(球磨子に関わる主な人物)
・秋谷茂一
演 - 柄本明
事件を追う記者。当初から福太郎の死亡事件は、球磨子による犯行と睨んで取材を行う。新聞記者としての使命感を持ち、親しい刑事たちから情報を聞きこんだり、球磨子の釈明会見で強気な態度で直接疑問をぶつけたりしている。球磨子と親しい豊崎から証言を得るため近づく。

・豊崎勝雄
演 - 鹿賀丈史
球磨子の元彼。3年前に詐欺事件を起こし仮釈放中の身で、球磨子のヒモ状態。過去に球磨子の前夫の土地・家屋を共謀してせしめたことがある。事件前に球磨子と会って福太郎の事件と似たような自動車事故の『ケネディ事件』について話したことがあると証言する。

・白河福太郎
演 - 仲谷昇
作中では富山で有名な白河酒造の社長。球磨子の夫でお互い再婚同士。車の事故(ほどなくして事件扱い)により死亡。球磨子によると泳ぎは苦手だが釣り好きなこともあり、福太郎が言い出して多額の保険に入ったとのこと。生前、球磨子に惚れ込んでいたが、気弱な性格で親族や球磨子どちらにもいい顔をしていた。

(警察関係者)
・山崎捜査係長
演 - 新田昌玄
直接捜査を仕切る刑事。保険金殺人疑惑の釈明会見で警察を挑発した球磨子を敵視して捜査にあたる。

・小林刑事
演 - 河原崎次郎
事件当初から球磨子が犯人と決めつけて捜査を行う。秋谷とは顔なじみでつい情報を漏らす。

・刑事課長
演 - 山本清
確たる証拠がない状態での球磨子の逮捕はできないと慎重かつ確実な態度で殺人による逮捕にこだわる。

・佐々木刑事
演 - 飯島大介
球磨子のことを苛立たせる存在として敵視している。小林の先輩刑事。酔うと口が軽くなる。

・浅野刑事部長
演 - 梅野泰靖
法医学教授による福太郎の遺体の鑑定結果を受けて刑事たちに報告する。

・石原署長
演 - 小林昭二
事件報道がされて数日後、市民から警察署に球磨子を逮捕するよう抗議が殺到したため焦る。

(法曹関係者)
・宗方検事
演 - 小林稔侍
本作の裁判の検事。証言者たちの様々な証言などから保険金殺人の容疑が掛かった球磨子を厳しく追求する。

・矢沢裁判長
演 - 内藤武敏
裁判中球磨子が勝手に発言したり感情的な態度を取るため、手を煩わされる。

・原山正雄
演 - 松村達雄
白河家の顧問弁護士。球磨子から裁判の弁護を依頼されるが、土壇場になって長年の持病を理由に弁護を断る。

・岡村謙孝(かねたか)
演 - 丹波哲郎
弁護士。原山の大学の後輩。原山によると刑事専門の弁護士としては日本屈指の存在とされる。

(主な証言者)
・安西教授
演 - 小沢栄太郎
大学医学部教授。福太郎の遺体を鑑定し、裁判で事故当時福太郎は助手席に座っていたと証言する。

・藤原好郎
演 - 森田健作
球磨子と福太郎が乗っていた車の事故の目撃者。裁判では、車を運転していたのは球磨子だと証言する。

・堀内とき枝
演 - 山田五十鈴
東京のクラブ経営者で、球磨子の元雇い主。球磨子が福太郎と初めて会った頃のことを証言する。

・木下保
演 - 三木のり平
福太郎の釣り仲間。福太郎が亡くなる1ヶ月前に会った時のことを証言する。

(福太郎の親族など)
白河はる江
演 - 北林谷栄
福太郎の母。周りから『大奥様』と呼ばれる。結婚当初から球磨子のことを良く思っていない。

・白河宗治(むねはる)
演 - 丹呉年克
白河家の跡取り息子で中学生。福太郎と前妻の子。球磨子のことを『あの女』呼ばわりして嫌う。

・島田勝行
演 - 水谷貞雄
福太郎の義理の弟(福太郎の前妻の弟)。はる江から甥の宗治の後見人を頼まれる。

・白河藤九郎
演 - 大森義夫
親族会議で福太郎に、手切れ金を渡して悪評高い球磨子と離縁するように発言する。

・白河家親族
演 - 中村美代子
親族会議で、福太郎と球磨子の結婚について白河家が陰口を叩かれるようになったとぼやく。

・岩崎専務
演 - 名古屋章
白河酒造の専務。福太郎と球磨子の入籍を事後報告されたり、球磨子の素行の悪さに振り回される。

(その他)
・片岡咲江
演 - 真野響子
哲郎の後妻。あやこの育ての親。実の子のように愛情を持ってあやこに接している。

・片岡哲郎
演 - 伊藤孝雄
一人娘のあやこを引き取り後妻・咲江と暮らす。律子と離婚した時の条件として月に1度あやこを律子に会わせる。

・デスク
演 - 小美野欣士

・秋谷の同僚記者
演 - 羽生昭彦

・記者
演 - 城戸卓
・交通課警官
演 - 森下哲夫
・鑑識課員
演 - 遠藤剛
・警察署受付
演 - 小森英明
・弁護士会幹部
演 - 神山寛
・陪席判事
演 - 加島潤
・看守
演 - 小田草之介
ナツミオ

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