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人間の翼 最後のキャッチボールのmhのレビュー・感想・評価

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特攻隊で散華したプロ野球選手、石丸進一の半生記。
反戦映画であり、佐賀のご当地映画であり、野球映画でもあった。
野球が題材とくれば「英霊たちの応援歌 最後の早慶戦(1979年)」「ラストゲーム 最後の早慶戦(2008年)」を連想するけど、こっちはもっと野球――それもプロ野球に特化していた。
かつては六大学野球のほうが人気だったと聞く。高校野球の夢破れたあとは、社会人野球を選んだのに、どうして学徒出陣が関わってくるのだろうと思ったら、日大の夜学に通うことで徴兵を先延ばしにしていたとのことだった。
結果、軍歴が少尉からスタート。特攻隊員へという流れ。
元は東映でやるはずだったとのことだが、実現せずに、自主制作という形になってる。全編モノクロなのは資金難からきているのかもしれないけど、なかなかどうしてそれが決まっていた。
空襲シーンや、特撮シーンは白黒のほうが迫力でると思ってる。
商業映画と比べてシーンが長かった。よくいえば丁寧、わるくいえば冗長なんだけど、それがラストの余韻にもつながっている。
副題になってる「最後のキャッチボール」は文句なしに感動できる。
戦争映画で名をあげた佐藤允がお父さん役やってるのもよかった。
公開当時もあまり広くは見られなかったのがもったない。
いまなら、ご当地映画としても、もっと大事にされたんじゃないかな?
そっか、「月光の夏(1993)」も佐賀か。それよりあとの映画なのに、あまりに不遇でもったいない。
面白かった!
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