健一

女相続人の健一のレビュー・感想・評価

女相続人(1949年製作の映画)
4.0
1949年 🇺🇸映画 モノクロ作品。

第22回アカデミー賞
主演女優賞(オリヴィア・デ・ハヴィランド)
作曲賞、美術監督賞、衣装デザイン賞 受賞。

NYの高級住宅地に住む医師スロッパーは 内気で社交的でない娘のキャスリンの行く末を案じている。
しかしそれは スロッパーが亡き妻を理想化し そのイメージを娘に押し付けていたせいでもあった。
叔母の計らいでキャスリンと出会った青年モーリスは彼女に興味を示し のちに交際、いつしか結婚を申し込むが 2人の関係に父が難を示す。
娘を溺愛する父は財産目当ての結婚だと確信を持ち2人の間を裂く。
生まれて初めて父に背き 駆け落ちしようと決意する二人だが 実現せずに終わる。
いつしかキャスリン自身も『お金目当ての結婚なのでは?』と愛する人を見るようになってしまう。

愛とお金、遺産相続、財産目当ての結婚。現代にも通じる上流社会の歪んだ世界を『内気な金持ちの娘』の視点から描く愛憎ドラマ。

「女相続人」とは なんたるストレート!
ものすごい邦題をつけたものだ!
とても面白くイッキに観てしまった。とにかくキャラクター達の描き方がうまい!
『妻を失い内気な娘と自分が死んだ後の遺産が心配な父』『お節介な叔母』『お金なのか?愛なのか?結婚を申し込む無職の青年』
そして『いづれ相続人になる事が約束されている内気な娘』
この ヨツドモエ の演技合戦が素晴らしい!

本作でオスカー受賞のオリヴィア・デ・ハヴィランドの内気な演技が作品をより一層謎めいたものにしている。この役はホントに難しかったろうに。
ラストは背筋が凍りました!

本作のストーリーだけ聞けば 一見コメディ映画にもなりそうな物語だが、そこはウィリアム・ワイラー監督。超一級の愛憎ドラマに仕上げている。

『金の切れ目が縁の切れ目』とはよく言ったものだ。それは愛した人だけでなく 愛する家族をも引き裂いてしまう。

恐ろしや〜〜〜。


😷コロナパンデミック中に鑑賞😷
健一

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