Ryoma

無防備都市のRyomaのレビュー・感想・評価

無防備都市(1945年製作の映画)
4.2
端正な映像文法で語られる屋内撮影から一転して、カメラは野外へと放たれる。お世辞にも洗練されているとは言い難いアレブレの画面、しかし“そこ”に存在するものの抑制の効かぬ脈動がダイレクトにフィルム上に焼き付いている。…かと思いきや、また屋内へとカメラは舞い戻り、質の高いドラマが展開される。この妙にアンバランスな抑揚が映画全体を通して効果的に働いている。ほんでもってラストシーンは野外。おれは野外で幕切れてほしいとずっと思っていたから、これはよかった。
ヌーヴェルヴァーグの風がときたま吹く。…いやもっと息苦しく残酷な風が、映画全体に吹き荒れている。
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