Kientopp552

キャリーのKientopp552のレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
3.0
 アメリカ合衆国のフィルム・スクール出身で、いわゆる「ニュー・ハリウッド世代」の代表的な映画監督の一人に数えられるのが、1940年生まれのBrian De Palmaブライアン・デ・パルマ監督である。その出身からか、画面構成で、スプリット・スクリーン(分割画面)、長回し、スローモーション、目線アングルなどの手法を使用しており、「デ・パルマ・カット」と呼ばれる映像がこの監督では注目される。その映像効果の技術的確かさは、ソフト・フォーカスを多用した、また、A.ヒッチコックのスリリングの盛り上げ方に学んだ映像展開のリズムなど、本作でも見られるのであるが、その映像効果が表層に止まっており、作品としての「深み」を中々得ていないのは、なぜであろうか。

 さて、B.デ・パルマ監督自身が徴兵忌避者であることから、彼は、戦争・反戦映画を何本か手がけている。時も時、世界中でヴェトナム戦争反対運動が学生運動という形で展開した1968年、彼は、『Greetingsロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン/BLUE MANHATAN2・黄昏のニューヨーク』で、ヴェトナム戦争に揺れるアメリカの若者の群像を描く。この作品は、翌年開催された第19回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得し、B.デ・パルマ監督は、世界的にも名を売り出す。この作品系統では、1989年作の、ヴェトナム戦争に絡む『カジュアリティーズ』や、2007年作の、イラク戦争に絡む『リダクテッド 真実の価値』が入る。『リダクテッド 真実の価値』で、B.デ・パルマ監督は、今度は、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得する。

 ベルリンで銀熊賞を獲得した後は、一時スランプ気味であったB.デ・パルマ監督は、1970年代に入り、ジャンル変更を行なう。1972年作の『悪魔のシスター』、その二年後の『ファントム・オブ・パラダイス』が、カルト・ムービーとして認めら、これを受けてか、スティーヴン・キングの同名作品を原作とする「青春ホラー映画」たる本作を撮り、これが大ヒットになることになる。
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