三月

ポセイドン・アドベンチャーの三月のレビュー・感想・評価

3.9
海の神の名前を持つ豪華客船と、苦しい時に神に祈るのではなく、自分で道を切り開くことを信条とする牧師。
皮肉な対比ではじまる船中のパニックムービー。

作中、判断力が試される運命の分かれ道がいくつか出てくるのだけど、自分があの乗客のひとりなら、だいぶ序盤で脱落していること間違いなし…絶望的といえる状況下で、正解を選びながら諦めずに道を切り開く、本物の生きる力を身につけたいものです。

主要人物の全員が主役といえる描写で、長いほどではない尺の中に、各人物の背景やエピソードがうまく収められていて見事だった。

一見地味で気弱そうに見える中年独身男性に、冷静かつタフな精神力でストーリーを引っ張っていく役割を持たせているのも好きだった。
元娼婦と、彼女を6回も逮捕し続けた頑固オヤジ刑事の夫婦。ちょっとキュンとくるエピソードを最初に出すことで、終始うるさく口の悪い彼らにも愛すべき一面があることを忘れさせない構成になっていた。
老夫婦の奥様の方も良かったな…一番の見せ場のシーンでは、同じ人物と思えないくらい顔つきや動きが変わって、かっこよかった。
三月

三月