マヒロ

天使にラブ・ソングを…のマヒロのレビュー・感想・評価

天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)
4.0
(2024.20)
ギャングのボスであるヴィンス(ハーヴェイ・カイテル)の愛人だったデロリス(ウーピー・ゴールドバーグ)は、たまたまヴィンスの殺しの現場を目撃した結果命を狙われることになってしまう。警察に駆け込んだデロリスは、暫く身を隠すために修道院でシスターのフリをするように言われるが、享楽的なデロリスと院長(マギー・スミス)はとことんウマが合わずに騒動が起こる……というお話。

今更ながら初鑑賞。底抜けに明るいスレたところのない娯楽作という感じで、物足りなさがないこともないが純粋に楽しめた。
お堅い修道院に外の世界の楽しさを持ち込むデロリスと、反対に自分本位だったデロリスも修道院の仕事を通じて奉仕の精神を学ぶなど、お互いが良い影響を受けて変わっていくというのが良いところ。これが「つまらない宗教の戒律を変えてやった」とか反対に「この出来事のおかげでデロリスは信仰に目覚めました」とかいう展開だったらちょっとヒイてしまうけど、お互いの立場を尊重しながら変わっていくというバランス感覚が素晴らしい。重要なファクターである歌についても文句無しの良さで、ファンキーにアレンジされた讃美歌はシンプルに格好良かった。

欲を言えばもうちょっと展開にタメが欲しかったなと思うところもあり、ド下手だったシスター達が歌が急に上手くなってたりとか、なかなかデロリスのやり方を認めなかった院長が知らぬ間にデレてたりとか、段階を踏んで見せて欲しかったなという場面はチラホラあった。まぁ、細かいところをダラダラ描かないが故のテンポの良さもあったのかなと思うとそこも良し悪しだが。何にせよ、久しぶりに雑音なしでスッキリ楽しめる作品を観たなという満足感のある一作だった。
マヒロ

マヒロ