めろぬそーだ

天使にラブ・ソングを…のめろぬそーだのネタバレレビュー・内容・結末

天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

カジノの歌い手から修道士へ。

カジノで歌い手をしていた主人公は、偶然殺人現場を目撃してしまう。

彼女は警察との交渉の上、修道士となって身を隠すことを決意する。

当初は馴染めないものの、
適職である歌を得た主人公が聖歌隊を導き始めることで、少しずつ皆の信頼を得ていく。

歌い手らしいポップなアレンジを加えたことで、ミサが活気を取り戻す。
聖歌隊の歌唱力やまとまりも大いに向上、
何より主人公自身がやりがいを感じていた。

しかし、修道士のトップは伝統的な姿をこれまで守ってきた。これらのやり方に決して賛成的ではなかった。

ただ主人公はこのやり方を貫き、
社会に出て奉仕活動まで始める。
周りの修道士たちもこの活動に非常に意欲的で、その街だけではなく全米、全世界へと名を轟かせるようになる。

ついには、あのローマ法王の目にも留まることとなる。
そして、なんとローマ法王が直々に歌唱を見学されることとなったのだ。

修道士長の意見はあくまでも、
伝統を重んじるべきであるというものであったが、民主的な多数決に委ねることとしたのである。

結果は主人公がもたらしたポップなアレンジを加えたものを披露すべきであるとしたものであった。

しかし、ここで主人公の命を狙っていた犯人の裁判日が決定したとの報告を受ける。
ところが修道士長も教会を出ると話した。

伝統と革新は入り混じらないのだろうか。

ローマ法王の訪問を翌日に控えた土曜日。
警察内部の内通者によって、主人公の居場所がバレてしまうことに。
主人公に協力する警察の1人がそれを察知し、主人公を逃げるように諭すも、彼女はこれを拒み、逃走を図る。

ここで犯人に見つかってしまう。
たまたま居合わせた主人公の仲間と共に誘拐されると、主人公は仲間を無理やり下ろし、1人で彼女がかつていた街、ネバダ州リノへと連れていかれることとなる。

その知らせを聞いた修道士長は彼女を救いにリノまで行くことを決意するのである。

主人公は命の危機に瀕していた。
彼女が目撃した殺人と同様の状況が目の前に広がっていた。
ただ、彼女は驚くほど落ち着いていた。
その姿は、まさに修道士、そのものであった。

2人の手下は彼女に手を下せずにいたが、
祈りに乗じて彼らの隙をついて逃げ出すと、そこに修道士たちが到着する。

彼女を救うために撹乱を行うが、
最終的には犯人にバレてしまう。

全員の命が危険に晒されるも、
主人公は仲間の命を守るため、自ら名乗り出て、犯人の前に姿を現した。

主人公が修道士であるために、相変わらず手を下せない2人の部下に修道士長がかけた言葉は、彼女は本物の修道士である。というものであった。

そこへ警察が到着し、犯人は無事逮捕されることとなるのである。

修道士長は主人公に責任があるとしつつも、述べた言葉は感謝であった。
そして、2人ともこの教会に残る、という判断を下したのである。

翌日、ローマ法王が見学される中で聖歌隊は完璧なパフォーマンスを披露し、ローマ法王がリズムに乗るほどであった。
見学客からも大きな拍手が送られ、無事成功したのであった。



この映画のポイントは何よりも歌。
最初に流れたひどい歌も印象には残ったが、
主人公が指揮をした初めの歌唱は、
ハーモニーを奏でた見事なものであり、
鳥肌ものである。
また、ポップ長にアレンジされた楽曲は見ているこちらもノリノリになる程のものであり、明らかな注目点である。

また伝統と革新。2つの正義があることも忘れてはいけない。
この2つの考えが作品中盤では衝突していたが、決して分かち合えない考えではないのである。
伝統は革新の連続という言葉にもあるように、互いを理解し合えた先に未来があるのである。

そして最後に希望である。
主人公は当初教会を拒絶し、地獄とまで評していたのである。
歌以外の仕事は合わず、何より修道士長やその他メンバーとも馬が合わないことも多くあった。
しかし、彼女は歌に出会い変わった。
生き甲斐を見つけたのである。
その後の彼女や、彼女の周りにいた人々は見違えるような変化をしていった。
特に自信がないように見えた修道士の1人はまさに自信を手に入れ、彼女にしかできない歌唱を披露するまでに至った。

決して並列すべきではないことを承知の上で、この映画には「ショーシャンクの空に」と通じる部分があるのではないだろうか。
希望を捨ててはならず、希望を持てば人は輝く。
修道士長は教会の柵を防護壁と語った。
修道士長は外界を知らなかったのである。
だからこそ、伝統に固執しすぎたのである。
これは悪ではない。
ただ、主人公の登場によってまた彼女も希望を見出したのである。

ノリノリな作品に出会えたことに感謝。
ありがとう。
めろぬそーだ

めろぬそーだ