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悪魔が夜来るのmimicotのレビュー・感想・評価

悪魔が夜来る(1942年製作の映画)
3.9
なんだろう、この心地よさはいったい。
「悪魔が夜来る」なんてホラーのようなタイトルでありながら、お伽話のような世界だった。「むかし、むかしあるお城で婚約の宴が開かれておりました。そこへ悪魔が手下を送り込み、2人の仲を裂こうとするが...」という感じのお話のマルセル・カルネの作品です。

真っ白なお城、たわわに咲く花、小鳥のさえずりが心地よく、白黒映像の初夏は眩しいほどの陽気です。
中世ヨーロッパの絵画を再現したかのような衣装も見どころ。男性のタイツ姿には何度かププッと笑ってしまいましたが。

悪魔の手下の妹役に扮した「天井桟敷の人々」のアルレッティが、ミッションを遂行する為、ポーカーフェイスで男達を誘惑する演技が魅力的。

ドイツ占領下のフランスで撮られたとは思えないほど、美しく優雅な雰囲気が漂っていますが、フランス人の誇りとナチスへの抗議の意味が込められているようです。
フランスの"愛と自由の不屈の精神"!
ということは悪魔=ヒトラー。
豪快に笑う面白いおじさんは、お伽話のような世界の中で圧倒的な迫力を発揮していました。

作風が好き。あまり深く考えずポーとこの世界に浸っていたい!
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