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黒い潮
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『黒い潮』に投稿された感想・評価

国鉄総裁下山事件、戦後日本の闇とされる事件の一つ。事件発生直後から真実を追い求める新聞記者役の山村聰が辿り着く果てにあるものは…。
井上靖原作を、俳優山村聰が監督も務めたドキュメンタリー的な作風だが骨太で楽しめた。
当時の新聞社のオフィスの情景、東京オリンピックの前には沢山あった銀座の運河、そうした運河沿いの料亭、銀座和光がまだまだ一番高い建物だった時代…。下山総裁の轢死が自殺か他殺か…。記事を巡ってヒートアップしていくマスコミも、いい意味でも悪い意味でも今より気骨があったと感じられる。そしてタバコ🚬の煙が満ちて、クーラーのないオフィス。氷の塊が部屋の凉をとる唯一の手段だなんて初めて知った。
真実は一つの筈が、最後に得体の知れない権力の力で曖昧にされる不気味さ。女優の津島恵子、左幸子の可憐さが華を添えるけど、左幸子がとてもキュートだった。いつでも観れると思っていた日活の旧作がアマプラから急速に消えていく…。見逃さないようにしないと😨🎬
yaaa

yaaaの感想・評価

4.0
激渋ブン屋映画。
国鉄三大ミステリー事件の1つ、国鉄総裁が列車に轢かれた?!の「下山事件」のスクープ合戦を描く。
日本版「大統領の陰謀」みたいに淡々と世論が喜ぶ・飛びつく記事でなく新聞の売り上げに影響あるかもしれないが地味な真実のみを記事を書こうとする記者たちの仕事ぶりをロケかよと思うような重厚なセットの中、クーラー代わりの氷柱や子供のお茶汲みなんか配置して「リアルやなあ」と思わす細部もいれこんでみせる。デスクのダンディなオッサン山村聰(主演もして監督までしてクリント・イーストウッドかよ!絶賛)をはじめて記者たちに多彩な顔ぶれ配して飽きさせない。新聞社での背景の人の動きを絶えさせない画面もなかなかよくて緻密さがギッチリ詰まってる。
最初の国鉄総裁の列車に飛び込むカット(この映画は自殺説です)が自然すぎて驚く。
頑なに事実のみを記事にしていくことで新聞社内で孤立していく主人公の内面にも迫り、男としてどうなのよ!と思うところもあるが分かりやすい。
真実に迫ってもそれが握りつぶされる権力の闇を感じさせるラストがビター。
演出部が強烈で鈴木清順さんにイマヘイ、浦山さんと。
新聞社でのガヤを動かしていたのは今村昌平監督なのかと思うと重厚さ増す。
下山病がまた再発するぅ😱

「下山事件」関連本は全部には目を通していないが、いわゆる平成の三部作は読んだ。下山検定があれば2級ぐらいだと思っていたのだが。。

自殺か他殺か 本作ではそこに焦点は当たっていない。原作井上靖の所属した毎日新聞は自殺説だったようだが。

デスクを務める記者の速水は、16年前に妻を心中事件で亡くした過去を持つ。タイトルの『黒い潮』はこの時に体験した、世間のいわれなき噂 誹謗中傷、それに対して何も反論できない無念。そういう思いの集積だ。
清張さんの「黒い霧」が上から立ち込めてくるものだとすれば、「潮」は足元にからみつく。この国が何百年かかけてつちかってきたものであり、そう簡単には抜け出せない何かだ。

一度この世間の悪しき面を味わっている彼はものすごく抑制的で理想主義だ。同僚の記者たちに原理原則を説き、時には当たったりする。あんな調子でいたらすぐに胃を悪くしそうだが、彼が唯一ホっとできるのは恩師の東野英治郎のひたむきに自分の研究を突き進む後ろ姿を眺めるときだけ。

「世間」学の本によると、今また「世間」が復活してきているそうだ。98年ぐらいが転機だと。「保守化」もその流れとみる説がある。そこにSNS時代のフローの加速が重なってくる。こういった話もなんとなく納得はできるが、自分は真面目さが失われたことが一番大きいと思う。

速水という男の痛ましい程の真面目さ あの送別会の雰囲気たるや。。
あれについていけないと思う者も、遠くから見守る者も、去っていく者も、あの同僚記者の数ぐらいこの映画の観客の反応も別れるのだろう。

真面目に言うと49年夏に起きたこの出来事は戦後のターニング・ポイントの一つになった。

警視庁の発表は突如として中止になる。現場では誰も理由は分からない。ただどこかとんでもない上からの圧力だということだけが了解される。
憤った河野秋武の記者が、妙ちくりんな時代がまたやってきてるんだと吠える。
腕利き刑事の石山健二郎はデカなんかに分かるものかとつぶやく。
 
記者や刑事のあの落胆。敗戦国の男たちが打ち倒される姿に、強大な力に屈せざるを得なかった市民の嘆きを感じる。まだ戦争の傷は癒えていない。
社会学の分類ではよく、72年ぐらいまでが理想の時代とか言われている。逆コースはこの理想に燃える人々の心にただ燃料をくべただけなのかもしれない。

いわゆる国鉄三大ミステリーと言われる事件。その報道まで含めたレベルで実際にどの程度GHQの関与があったのか。少なくとも圧力があったのは間違いない。だが忖度というのはきかない。今や完全に牙は抜かれ爪もない。完成している。

この作品、実際の事件からわずか5年で製作。当時の観客はみな共有できていたのだから細かい部分の説明はない。企画は監督・主演をつとめた山村聰。1954年は日本映画にとっても大変重要な年だ。

何も終わっていない
真実は一つ
事件があったということは動かないのだから
時がくれば必ず解決する


⇒美術:木村威夫

⇒速水のモデルは毎日新聞社会部デスクの平正一 著書に「生体れき断」

⇒政権にとって下山自殺説はまことに都合が悪かった。当時の官房長官増田甲子七は毎日の記者を呼び寄せて、「これが自殺だとしたら、左翼の攻勢はどうなりますか」と迫ったらしい。政権によるメディアコントロールは今に始まったことではない。

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