もめん豆腐

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのもめん豆腐のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

今日は9/11だからこれをやるんだね。飛行機がビルに突っ込んだあの映像を見た時の自分を思い出すと、茫然自失とはあの状態のことなんだと体感した。何が起こってるのか、どうしてこんなことになっているのか、脳の処理が全く追いつかなくて「どういうこと???」しか言えなかった。20年以上経った今でも、あの体感は忘れられない。
この映画を観ながらトム・ハンクスはアメリカのお父さんになったな〜としみじみ感じた。まるで笠智衆さんが日本のおじいちゃんだったように。コロナ禍で感染した男の子が意地悪をされて、トム・ハンクスに手紙を出したら「僕たちは友だちだ」と返事が来たと聞いて胸熱だったのを思い出したよ。もうね、彼はみんなのお父さんよ。彼が演じることでこのお父さんを亡くしたオスカーの強い喪失感を観る者にも追体験させることが出来たんだろう。物語内のお父さんはオスカーにとって、最高の父親であり、友だちであり、仲間であり、相棒だったんだなと理屈抜きで感じることが出来た。オスカーを心から愛するがゆえの思い上がりへの戒めにもぐっときた。
物語のメイン、鍵穴を探す旅も観客はオスカーと共にいられ、映画ではなくオスカーの旅のドキュメンタリーのように感じていて、本物のシェル親子を見守っているように見つめていられた。間借り人との温かなやり取りも、この物語に深みを与えており、おばあちゃんも含め、皆がオスカーを子どもとして扱わず、一人の人間として対等に扱う姿に良きアメリカを感じさせられた。彼の個性に寄り添う姿は、あてくしもとても学びになったよ。訪問先でのたくさんの人との出会いにも目頭が熱くなった。象の涙の話も、ハグ魔とのやり取りも、馬に乗せてくれた家の家族とのふれあいも、扉を開けてくれなかった女性も、鍵の持ち主との会話も、全てが深みを与えてくれていた。
もめん豆腐

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