しねま大福

猿の惑星のしねま大福のレビュー・感想・評価

猿の惑星(1968年製作の映画)
3.6
昔「スタートレック」がTVで放映された時、タイトルは「宇宙大作戦」だった。しかし「宇宙」と言いながら実際に出て来るのは、子供ながらに「どっかの砂漠で撮ったんだろうな」というようなのばかり。しかもほとんどが人間ドラマで、当時日本製のSFチックなアニメや特撮を観ていた眼には退屈に感じたものだ。この映画も今の若い世代には同じように映るのかも知れない。それでも劇場映画だけあって思ったより作りはしっかりしていると思う。そして風刺と文明批判はある意味現代より強烈だ。これはカウンターカルチャーの時代だからこそだろう。キリスト教系の団体から抗議などなかったのだろうか。最近のCGを使ったシリーズ作の方がエンタメ性ははるかに上だが、こちらの方によりリアリティを感じる。それは多分、通奏低音のように静かに流れる破滅の影、のようなものだろうか。そして、ラストシーンの衝撃を担保するものは、全面核戦争でなければならなかった。それは現代においては使い古されたテーマであり、パンデミックの方がリアルに感じられるのかも知れないが、人類の、或いは文明の愚かさをより強く告発する力は前者にある、と思う。余談ではあるが、今では鬼籍に入られた声優さん達の演技が聞けて嬉しかった。だが私はノスタルジーだけでこれを書いているわけではない。なぜなら、この映画をはじめからちゃんと観たのはこれが初めてだからである。
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