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伽揶子のためにのmasatoのレビュー・感想・評価

伽揶子のために(1984年製作の映画)
4.0
北千住芸術センターのシネマブルースタジオで開催中の小栗康平監督作品の特集上映。

2作目は『伽倻子のために』。この日は小栗康平監督のトークショーも行われたので、かつてない客の入り(笑)。トークショーについては対談相手の芸術センター代表理事が老害レベルで自己主張の強い人でまいった。40分のトークショーで聞き出し役が30分近く話すという事態に、「映画の話に戻しましょう」と小栗監督が若干キレ気味。最後は出席はできなかったけれど、主演の南果歩さんからの手紙と花束でなんとか綺麗にまとまった。

映画は日本人でありながら在日朝鮮人の夫婦に育てられた少女・伽倻子と朝鮮人青年との愛を軸に描かれる。監督自身の口からも語られていたが「映画は散文として物語を語るのではなく、韻文として、詩のように情感を伝えていく」ことに重きを置いて紡がれる。

これまであまり感じたことはなかったのだけれど、この作品を改めて見ていると、小栗康平とギリシャのテオ・アンゲロプロスにはとても類似点が多い気がしてきた。

セリフではなく、テンポで見せる。時に演劇的な演出や、絵画を描くような絵作りがされる。そして、過酷な人生を丸ごと受け入れるようなおおらかさがある。

もう一度、見てみようと思う。
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