HAYATO

真夜中の虹のHAYATOのレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
3.4
2024年148本目
南を目指す男の波乱万丈な旅路
『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』のアキ・カウリスマキ監督が描くハードボイルドロマン
失業したカスリネンは、自殺した父のキャデラックで南を目指して旅に出る。しかし、途中で強盗に全財産を奪われてしまい、途方に暮れる。そんな中、駐車違反を取り締まるシングルマザーのイルメリに惹かれ、生活費のために愛車を売る。そして偶然にも以前襲われた強盗を見つけ捕まえようとするが、逆に逮捕されそのまま投獄されてしまう。
出演は、『ナイト・オン・ザ・プラネット』のマッティ・ペロンパーなど。
カウリスマキ節とも言うべき淡々としたストーリーテリングが炸裂。74分間という短い時間の作品ながら、実に色々な出来事が起きる。
不運という言葉では片付けられないほど、災難続きの主人公。もしも自分がその立場だったらと考えると、早々に絶望してしまいそうだ。世の理不尽に負けず、表情ひとつ変えずに前に進もうとする主人公の姿に、微かな希望を感じ取れた。
そうしたやや重たい空気の流れるストーリーの中にも、カウリスマキ監督のユーモアセンスは発揮される。駐車違反を取り締まる女性に恋に落ちるというまさかの展開自体も笑えるし、「子供がいる」と彼女に告げられた後の主人公の言葉「作る手間が省けていい」って、そんなんクスッとしちゃうに決まってるでしょう。
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