アクション映画の巨匠サム・ペキンパーによるトラック野郎と警察の攻防を描いた秀作。
スローモーションや細かいカット割り独特なカメラワークなどペキンパーらしいセンスを十二分に発揮している。
ただ、同監督の他作品と比較してバイオレンス控えめな痛快娯楽作といった印象を受ける。
トラック野郎達は自由の象徴として描かれ、保安官は法を盾に私腹を肥やす腐敗した司法制度や政治、国そのものとして描かれている。
トラックの運転手達がそれぞれマスコミに不満を投げかける場面があるが、過度な速度制限、低賃金、差別、警察への賄賂など、生活が困窮する労働者を代弁している。
トラックによる破壊活動は圧巻の一言だが、拘束されたスパイダー救出の名目で保安官事務にトラックで突っ込んだのは司法制度の破壊という意味もあったのかもしれない。
トラックが1台また1台と列をなし、巨大なコンボイを形成する。それはまさにスイミーの如く。
カントリー歌手C・W・マッコールの「Convoy」を元に制作されただけあって曲とのシンクロ率100%。
マッジ・シンクレア演じるブラック・ウィドウがとにかくかっこいい。
女性でありながら巨大トラックを操り、酒場での乱闘でも率先して殴り蹴り、殴られ投げられる。男より男らしい戦う女性。メインヒロインではないが、女性の社会進出と自立を一番体現しているのが彼女と言っても過言ではあるまい。