ろく

ボーイズ・オン・ザ・サイドのろくのレビュー・感想・評価

4.0
ドリューに首ったけ③

今回はドリューは助演だけど、それでも十分「ドリューらしさ」が出ていてグッド。観ていて思ったのはモンローね。しかも「百万長者と結婚する方法」のモンロー。つまりパッパラブロンドバカを見事に演じている。ああ、モンローから30年、1990年代のセックスシンボルはドリューじゃねえのって思っちゃう。そういえばモンローと着ている服も似ているじゃないか。あのロングのセーターをたくし上げるシーンなんか鼻血ブーですよ(谷岡ヤスジ)。

それはそうとこの映画。1990年代なのに「今」を語る映画と言ってもいい。同性愛、病気(エイズ)、DV。それぞれ今の「女性」が悩んでいる問題だ。そんな問題をウーピー・ゴールドバーク、メアリー=ルイーズ・パーカー、そしてわれらがドリュー・バリモアが演じる。それぞれに解決はない。それとともに生きていく。ウーピーは同性愛だが人間の尊厳はしっかり保つ。メアリーは病気だけど「今を生きる」。ドリューは?彼女は再び愛に生きる。その愛は「まだわからない」。それでも彼女なりの「正しい」を追い求める。

そうだ、解決なんかおこがましい。解決を求めるのは傍観者だ。でも彼女たちは。彼女たちは決して傍観者じゃない。主人公だ。だからこそ「ボーイズ・オン・ザサイド」(男=傍観者はあっちいけ!)で生きていく。そして男どもも傍観者から、そう観客から「演者」になる。もう一度言う。解決なんかない(あるいは欲しない)。それで十分だ。最後のウーピーの歌が染みこむ。僕らは少しだけ前を向いていれば十分なんだ。

ベタな映画と言えばそれまでだけど、それでも十分見ていて感動する。それは小細工がほとんどない映画だからかもしれない。最初パッパラのドリューにただ笑っていたがそのうち彼女の生き方はとても素晴らしいものでないかと感じ入った。シニカルな批評はいらない。批評で脇から講釈をドリューは垂れない(いつも彼女は笑顔だ!)。ただ全力で「幸せ」に生きる。意外と大事なのは「シンプル」かもしれない。最近はそう思っている。
ろく

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