1961年作品。
聾唖者夫婦の純愛物語。
物語は第二次大戦中から始まる。
高峰秀子演じる秋子は、子供の頃の病気によって聴覚を失うが、ゆっくり話してもらえば、唇の動きで多少は聴くことができる。
母は秋子を心配してくれるか、兄弟たちは冷たい。
戦後、秋子は聾学校で小林桂樹演じる片山と出逢う。
結婚経験がある秋子は片山の求婚に悩むが、片山の一途な想いに心動かされ、結婚する。
手話で交わされる二人の愛の会話か素晴らしい。
土手でのカメラを引いたショットや、電車の車両をはさんで手話シーンなど美しい場面が続く。
それと同時に、当時の社会での障害者への正面切っての差別意識の凄さを感じる。
本人たちの口からも、自分たちは普通ではないことなど自尊感情がないことが伺え、悲しい気持ちにさせられる。
もちろん、二人の人間性を受け入れ、助けてくれる人たちも多い。
片山が終盤に秋子にしみじみ語るシーンも秀逸だ。
「今までは何とかこんな二人でも必死に生きてきた。だけど、これからは少しずつでも私たちみたいな人たちのことを世間に知ってもらいたい。」
これぞ、障害を持った方と社会の関わりにみたいなことにも映画が触れていた証であり、それが「工賃を上げてくれ!」と要求するひとり息子の行動にもつながってくる。
しかし、多くのユーザーさんが指摘しているように、映画が二人の純愛、苦労物語から、さらにその先も見据えていこうという方向性をしめしたならなおさら、
あの締め方、ラストはないな!
極めて、残念な思いの残るラストとなった。→マイナス0.5(涙)
あの頃から時代が過ぎ、環境も随分違って来たところもあるだろう。
しかし、障害者議員に対するヘイトな書き込みやそれに対する支持を目の当たりにすると、変わらないんだなと、悲しい気持ちになる。