ひでやん

ジャン・ルノワールの小間使の日記のひでやんのレビュー・感想・評価

3.7
オクターヴ・ミルボーの小説をアメリカに亡命していたジャン・ルノワールが1946年に映画化した日本未公開作品で、1963年にはルイス・ブニュエルが映像化した作品。

パリ娘の小間使いが、新たな奉公先となった屋敷で、生き方を変えて幸せを掴もうとする物語。

主演は「モダン・タイムス」でヒロインを務め、チャップリンとは事実婚となったポーレット・ゴダードで、彼女が演じた小間使いのセレスティーヌは適役だった。

命令に従うだけの使用人ではなく、許せない事には怒り、言いたい事は口にする度胸があり、愛より財産を求めるセレスティーヌ。

屋敷の主人は彼女に一緒にパリへ行こうと誘い、金持ちの隣人は射幸心を煽って求婚。何かを企む執事も病弱な息子も彼女に惹かれる。

求めた幸福が目の前にあるが、捨てたはずの愛もある。

リスの死とガチョウの屠殺で、これから起きる殺人を予感させ、祭りの喧騒の裏でその悪意を描くのが秀逸。

犬猿の仲である隣人とのドタバタ劇や後半のお祭り騒ぎは楽しく、超高速往復ビンタで思わず笑った。

コメディ、サスペンス、ラブ・ロマンスの要素を取り入れ、前半はバランスが良かったが、悪が暴走する終盤はなんだか残念だった。
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