Omizu

レバノンのOmizuのレビュー・感想・評価

レバノン(2009年製作の映画)
3.7
【第66回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
『運命は踊る』サミュエル・マオズ監督作品。ヴェネツィア映画祭で最高賞を受賞、ヨーロッパ映画賞でも作品賞にノミネートされ、撮影賞とディスカバリー賞を受賞した。

イスラエルの戦争映画。今はきな臭い現状が続いているが、本作は反戦映画であるので観るべきかも。

終始戦車の中だけで展開される一種の密室劇でもある。アップを多用した緊迫感のある表現がとられている。

冒頭と結末がある場所で交差する。これだけの内容を凝縮し、短い尺で描ききったサミュエル・マオズの力量は相当なものだ。脚本と演出の賜物。

ただ、最後まで誰一人としてまともに戦わないので段々イライラしてくるのも事実。指揮官は頼りないし部下は従わないし。それがリアルだと言われればそうなのだけど。もう少し戦争映画としての起伏をつけてほしかった。

どちらかというとベルリン映画祭っぽい映画。ただ芸術性、作家性も感じられる作品ではあるので、そういう意味ではヴェネツィア映画祭らしいのかもしれない。

ジャケ写からはドンパチやる戦争映画のような印象を受けるが真逆。密室で起こる心理劇的な要素が強い一作。うなだれたひまわりが強い印象をつける。そんなに好きな作品ではないが上手いとは思う。『運命は踊る』も観てみよう。
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