シネラー

ウエスタンのシネラーのレビュー・感想・評価

ウエスタン(1968年製作の映画)
3.5
マカロニ・ウエスタンの巨匠
セルジオ・レオーネ監督による
本作を初鑑賞。
贅沢な位に間を持たせる西部劇であり、
それでいての自然なドラマが良かった。

物語は西部開拓時代末期、
鉄道会社に雇われて
土地の利権を狙う悪党フランクが
所有者のマクベイン一家を殺害した事を
切っ掛けに、復讐を願うマクベインの
婚約者ジルとハーモニカも持つ謎の男が
織り成す西部劇となっている。
冒頭15分間でハーモニカの男と
3人の男達の決闘が描かれ、
嵐の前の静けさを感じさせた上での
数秒での決着は、大いに引き込まれる
オープニングだった。
結末に関しても、
ハーモニカの男とフランクの因縁が
決闘の直前で最小限の回想で描かれ、
そこからの決着が皮肉も
交えていて格好良かった。
作中で頻繁に耳にしていた
ハーモニカの哀愁さあるメロディが、
ここ一番の結末で生かされているようだった。
全体的に説明的な部分もなく、
本当に少し昔の西部開拓時代の一幕を
見ているような作劇も良かった。
それでいて情緒的に感じる
ドラマ場面もあり、
婚約者を喪って一人残された家で
ジルがベッドに横たわる場面は
とても感慨深く感じられた。

長所と短所は紙一重ではあるが、
その贅沢に場面を盛り立たせる作風は
個人的に観ていて苦しいところだった。
物語のテンポ感は古典作だけに
遅いと理解しているが、
全編通しての間を持たせる作風は
眠気を誘うのに十分だった。
(早朝からの仕事が続いていたので、
自分のコンディションにも問題ある。)
又、ハーモニカの男にフランクといった
登場人物達の動向が多く切り替わるだけに、
誰が主人公なのかが分からない事での
感情移入もしづらいところだった。

レオーネ監督による
ワンス・アポン・ア・タイム三部作の
第一作でもあり、
後にオリジナル版
『ワンス・アポン・ア・
タイム・イン・ザ・ウェスト』
として公開された作品であるが、
しっかりコンディションを整えた上で
オリジナル版を鑑賞してみようと思った。
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