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異人たちとの夏のpapandaのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
3.9
両親を亡くした今この映画を見ると、以前とはずいぶん違う見方になった。“異人たち”の思いに想いを馳せてしまう。急な事故でたった一人の息子を世間に放り出さなくてはならなかった若い夫婦、人恋しさに潰れてしなった女。英雄が両親の愛情にふれて心の潤いを取り戻していく姿がわかる。また、新しい高層ビルのすぐ横に昔ながらの路地が巡る浅草という土地が、この物語にピッタリだった。なんといっても両親の鶴太郎さんと秋吉久美子さんがすごくいい。昔ながらの江戸の職人とその女房、落語世界から飛び出したみたい。大林監督作品常連の俳優さんが次々に登場するが、本多猪四郎監督の出演には大林監督の敬意と愛情が感じられて嬉しい。
この映画、はじめは「ゾンビ映画を」という依頼だったそうだが、大林監督の撮るゾンビ映画はそれはそれで見てみたい気もするが、最終的にこの映画になってよかった。
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