みや

異人たちとの夏のみやのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
4.5
家族との時間が、必ずしも幸せだったとは限らない人もいるだろう。けれど、誰もが、どんなにささやかでも、自分が大切にされた記憶のカケラは持っていると思う。そのノスタルジーを呼び起こし、浸りこむ幸せを思い出させてくれる映画だ。

自分にとって、この映画で一番響いてきたのは、手作りアイスクリームだった。
買ってもらったものではなく、一緒に手作りしたものというのは、記憶の深さが違う。
いつのまにか、映画の中の部屋は、母の実家と重なり、暑かった日差し、緑の匂い、そして井戸水の流れが思い出され、自然と涙がこぼれた。

初めてこの映画を観た20代の頃と違い、自分はもう還暦間近。思いは、鶴太郎や秋吉久美子の方により籠る。
子どもたちはそれぞれ独立し、元気にやっているのだけれど、いつまでたっても、子どもはやっぱり子ども。風間杜夫が、息子たちに重なって見えてしまうのも年をとったせいだろう。

やっぱり自分は大林宣彦の映画が大好きだということを再確認。

明日から公開のリメイク版は、どんな味わいなのか、そちらも楽しみにしたい。
みや

みや