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パリところどころのnyakoのレビュー・感想・評価

パリところどころ(1965年製作の映画)
4.3
6人の監督によるオムニバス。
どれか一編くらい合わないのあるだろと思ってたら、どれも面白い。どれもエンドでおおっとなるひねりあり。
パリの風景をたっぷり観れるのも眼福。
わたしは3話目と5話目が1番好みだった。


①『サンジェンルマン・デ・プレ』
ジャン・ドゥーシェ監督

街を抜けてくカメラ、パリ6区の紹介に憧れから見とれてしまう。
サンジェンルマン・デ・プレ教会、セーヌ河からポン・デ・ザール(芸術橋)、ルーブル宮、カフェ・ド・フロール。
そして部屋の窓から一望できる景色。

アメリカ人の女学生と大使の息子だと言うフランス人の男がカフェで出会い、彼のアパルトマンで一夜を過ごすが…。
あくる日、別のしつこいナンパ男から逃れようと
した彼女はあるカラクリに気づいてしまう…。

フランスに来て2週間、手痛い洗礼を受けてしまったようなラストの彼女の顔。
彼女はとても魅力的で、彼らには断然もったいない。


②『ガール・デュ・ノール(北駅)』
ジャン・ルーシュ監督

パリ10区にある北駅近くに住む夫婦。
朝から工事の騒音で機嫌の悪い妻。
夫に不満をまくしたて家を飛び出して、あわや車と接触しそうになる。
その車の持ち主はいわくありげで彼女につきまとってくるが…。

かなりショッキングな幕切れで、この物語にはどういう意図があるんだろう…ってずっと考えてる。
うわ〜、この終わり方はあとをひく。



③『サン・ドニ街』
ジャン=ダニエル・ポレ監督

ストラスブール=サン・ドニ駅近くにある二つの門、ポルト・サン=ドニ。
このポルト・サン=ドニに続く道、パリ2区の風俗店並ぶ歓楽街サン・ドニ。

娼婦を自分の部屋に招いた青年。
終始、娼婦の貫禄たっぷりな態度に青年がタジタジでユーモラス。
そしてやっとその時が来たのに…なんだか可哀想で笑えちゃう。



④『エトワール広場』
エリック・ロメール監督

シャンゼリゼ大通りで観光客に有名な8区と高級住宅街16区の間にあるシャルル・ド・ゴール=エトワール広場、凱旋門。

いつも礼儀正しい紳士。
地下鉄でマダムに脚を踏まれても怒りは表面に出さず、我慢我慢…。
凱旋門から伸びる道は行き交う人でいっぱいで、男性と接触してしまうアクシデントが起きてしまう。
えっ、これはまずいんじゃない⁉︎
笑っちゃいけない話なのかもしれないけど、笑っちゃう。ブラック。



⑤モンパルナスとルヴァロワ
ジャン=リュック・ゴダール監督
ジョアンナ・シムカス出演。

14区と15区の境の地下鉄、モンパルナス=ビヤンヴニュー駅。
恋人へ速達の手紙をPostへ投函した女性。
でも出した後に手違いに気がついて…。

ゴダールだから難しいやつ来るか⁉︎って身構えてたら、小悪魔の話で面白かった。
今だったらLINEの誤送信が近いのかな。
ジョアンナ・シムカスってまるでねこみたい。
わたしはカナダ人よ、って捨てセリフがまた笑える。


⑥『ラ・ミュエット』
クロード・シャブロル監督
ジャン・ラビエ撮影
ステファーヌ・オードラン、クロード・シャブロル出演。シャブロルは父役を演じてる。

ラ・ミュエットは16区にある高級住宅街。ブローニュの森が近いそう。

息子目線で描かれたシャブロル作品は初めて。
何不自由ない裕福な生活を送る夫婦と幼い息子。
メイドもいるし、美味しい食事は給仕付き、着てる服も立派な仕立て。
でも生活の雑音(親の不和)が酷すぎる。
だから耳栓をしてみたら…
開放感あるラストがいい。

そのままこの映画のエンドロールに続くんだけど、ずっと無音のままだった。完璧なエンドロール。
Filmarksに表示されてるジャケじゃなくて、販売されてるジャケに使われてる場面はこのエピソードからのカット。
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