ナツミオ

若き獅子たちのナツミオのレビュー・感想・評価

若き獅子たち(1958年製作の映画)
4.0
DVD鑑賞

”あなたは征服者。若々しい輝く戦士よ
 その輝きが失せたら会いましょう“
〜フランソワーズがクリスティアンへ向けて

過去数回鑑賞
VHSソフト持ってた。最近DVDソフトを見つけて購入。未レビューの為、再鑑賞。
意外に観た人が少ない名作。

第二次世界大戦、米独両陣営にまたがって、3人の青年たちの心理や愛が平行して描写される人間ドラマ&群像劇。

マーロン・ブランド、モンゴメリー・クリフト、ディーン・マーティンら、50年代を代表する魅力的な青春スターたちが共演。

原題 『The Young Lions』

1958年米作品モノクロ
監督 エドワード・ドミトリク
脚本 エドワード・アンハルト
原作 アーウィン・ショー
音楽 ヒューゴー・フリードホーファー
撮影 ジョー・マクドナルド
出演者 マーロン・ブランド モンゴメリー・クリフト ディーン・マーティン ホープ・ラング バーバラ・ラッシュ メイ・ブリット マクシミリアン・シェル リー・ヴァン・クリーフ

字幕翻訳 飯島永昭

(DVDあらすじより)
第二次世界大戦が勃発し、ドイツ軍青年将校クリスティアン(ブランド)はアフリカ戦線に向かう。時を同じくして、ニューヨークではユダヤ系の若者ノア(クリフト)と友人マイケル(マーティン)が出兵し、舞台は凄まじい戦場へ…。
壮絶な闘いの中で人間不信に陥っていくクリスティアン。
ユダヤ人ゆえに屈辱を受けるノア。
やがてノルマンディ上陸作戦が開始され戦況はドイツ軍に不利な方向へ。そして連合軍の勝利が近づいた前線でついに3人が出会ったのだった……。

(DVD解説より追記)
オスカー俳優マーロン・ブランド(『ゴッドファーザー』)や知性派俳優のモンゴメリー・クリフト(『地上より永遠に』)、そして歌手としても有名なディーン・マーティン(『リオ・ブラボー』)など、50年代を代表する魅力的な青春スターたちの共演が話題を呼んだ。
「地上より永遠に」「裸者と死者」にならぶアーウィン・ショウの戦争文学を映画化。「ケイン号の叛乱」「愛情の花咲く樹」のエドワード・ドミトリク監督の骨太な演出、脚色は「暗黒の恐怖」でアカデミー賞を得た「誇りと情熱」のエドワード・アンハルトが原作に忠実な脚色により戦争に悩み、傷つき愛を求める3人の若者たちの壮絶な青春を描いた感動巨編。

パリ、ババリア等の欧州ロケが行なわれた。

1950年代の戦争映画で、第二次世界大戦のドイツ、アメリカ軍のそれぞれの青年たちを主人公にした群像劇という描写が珍しい。ドイツ軍は悪という描き方ではなく、彼らが戦争をどのように受け止め、また愛する人たちとの関係も丁寧に描写。最後、彼らの運命が交差する。

戦争映画に分類されるが、戦争に翻弄される若者たちの青春群像劇。

戦争映画という括りからか、音楽がマーチ風の勇壮な曲が、少しあっていないと感じた。


【印象のシーン】
・ドイツ軍人クリスティアンがパリジェンヌのフランソワーズから投げかけられる冒頭のセリフ。

”あなたは征服者。若々しい輝く戦士よ
 その輝きが失せたら会いましょう“

そして再会したときのクリスティアンの苦悩、輝きが失せた彼をフランソワーズは優しく接する。

・ハーデンバーグ大尉夫人のグレッチェンに会い惹かれるクリスティアン。
彼女がクリスティアンを誘う仕草と抱き寄せる彼に一度顔を背ける仕草からの抱擁。
演じるメイ・ブリットの妖艶な美しさ。

・北アフリカ戦線での、英軍偵察部隊の野営明けを狙ったドイツ軍偵察隊、ハーデンバーグ大尉指揮の殲滅攻撃の非情さ。
負傷者を残さない命令に従えないクリスティアンの良心と引き金を引く大尉。

・連合軍が優勢となり部隊が全滅し1人彷徨うクリスティアンが辿り着いた強制収容所の所長から聞かされるホロコーストに怒りを覚えて収容所を後に…
そして闘いの虚しさに武器を岩に叩きつけ
……。

クリスティアン役マーロン・ブランドの熱演が光る。
最初、ナチスの政策や信条に共感し理想的な社会の実現を夢見るが戦争は思い描いた世界では無いことに打ちのめされ悲劇的な最期を迎える主人公の姿が特にインパクトがあった。

脇役の女優陣たちも魅力的。
ノアの恋人となるホープやマーガレットなども魅力的‼️
ホープの父親が娘への愛情から、ユダヤ人であるノアとの結婚への戸惑いや会ったときの言葉なども印象的。

同じ原作者の『地上より永遠に』(ここよりとわに)(1953・フレッド・ジンネマン監督)はアカデミー賞8部門受賞の名作だが、同様に軍隊内の人種差別や迫害も描かれ、こちらもモンゴメリー・クリフトが主演で役どころが似ている⁈
ヒッチコックの『私は告白する』でも迫害を受ける神父役でしたネ。

少し長め(168分)の作品ですが、その分登場人物も丁寧に描かれています。
久しぶりに観たが、やはり良い作品でした‼️



【忘備録】ネタバレあり
(キャスト)
・クリスチャン Lt. Christian Diestl
- マーロン・ブランド
ドイツ人主人公。
ドイツ陸軍中尉。入隊前は、趣味でスキーのインストラクターを務めマーガレットとも交流。実家は靴屋。入隊後、ドイツに反感を持つパリのフランソワーズと知り合い惹かれる。
上官のハーデンバーグ大尉夫人のグレッチェンと不倫関係に。
戦争やナチスに疑問を持ち始める。

・ノア・アッカーマン Noah Ackerman
- モンゴメリー・クリフト
アメリカ人主人公。
NYに住むユダヤ系移民。
両親・家族は死去。親戚もホロコーストで失っている。
ホープと知り合い結婚するが直後に徴兵。部隊内で人種差別や迫害を受ける。

・マイケル Michael Whiteacre
- ディーン・マーティン
ノアの友人、主人公の1人。
NYの歌手。徴兵され恋人のマーガレットと別れるがイギリスで再会。

・ホープ Hope Plowman
- ホープ・ラング
マーガレットの友人。ノアを愛し結婚する。良家の子女。ノアの心の支えとなり励ます。長女が出来てから実家で帰りを待つ。

・ハーデンバーグ大尉
Capt. Hardenberg
- マクシミリアン・シェル
クリスティアンの上官で狂信的なナチス軍人。夫人を愛している。
北アフリカ戦線で負傷し自殺。

・マーガレット Margaret Freemantle
- バーバラ・ラッシュ
歌手マイケルの恋人。
過去、ババリア旅行の際、クリスティアンと知り合い惹かれ合うも別れる。
陸軍情報部に勤務し、マイケルより先に海外勤務となる。

・グレッチェン Gretchen Hardenberg
- メイ・ブリット
ハーデンバーグ大尉の夫人。
ベルリン在住。上流階級出身らしく将軍たちとも面識。クリスティアン中尉と不倫。

・シモーヌ Simone
- ドラ・ドル
ブラント中尉の恋人でパリジェンヌ。
フランソワーズの友人。

・リケット軍曹 Sgt._Rickett
- リー・ヴァン・クリーフ
ノア、マイケルが所属する部隊の軍曹。
ノアを迫害する仲間たちのリーダー。

・フランソワーズ Françoise
- リリアン・モンテヴェッキ
パリジェンヌでシモーヌの友人。
パリでクリスティアンと知り合う。
夫はベルギーで戦死しナチスに反感を持つ。再会したクリスティアンに惹かれる。

・Sgt. Brandt
- パーリー・ベア
ドイツ陸軍報道班カメラマン。
クリスティアンの戦友。

・グリーン中尉 Lt._Green
- アーサー・フランツ
ノア、マイケルの部隊の指揮官。
強制収容所でラビの集会を許可する。

・Pvt. Crowley
- リチャード・ガードナー

・Capt. Colclough
- Herbert Rudley
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