原題「My Life Without Me」
ゼロ年代によくあったお涙頂戴の余命モノとはちと違った。
タイトルからはなんだか死ぬ前のやりたいことリストのようなものを出してきて、中にはムチャな事をこなしていくような話かなと勝手に想像していた。(なんかそれに近い映画もあった。)
だがまったくそんな展開にはならず、静かに穏やかに主人公は死を迎えていく。
1.娘たちに毎日愛していると言う
2.娘たちの気に入る新しいママを見つける
3.娘たちが18歳になるまで毎年贈る誕生日のメッセージを録音する
4.家族とビーチに行く
5.好きなだけお酒と煙草を楽しむ
6.思っていることを話す
7.夫以外の男の人と付き合ってみる
8.誰かが私と恋に落ちるよう誘惑する
9.頬の感触と好きな曲だけしか覚えていない形務所のパパに会いに行く
10.爪とヘアスタイルを変える
これらは「やりたいことリスト」などではなかった。一人の女性が「私抜きの世界」にどう折り合いをつけるかという準備作業なんだ。生きるってなんか大変、意味分かんないやってなった時に出来ればこの映画を思い出したい。ここにヒントはあるなと感じた。
主演サラ・ポーリー。アトム・エゴヤンに見出された。
夫のドンにスコット・スピードマン。エゴヤンの『白い沈黙』ではアホ刑事だった。
アンの職場の同僚の過食症女ローリーはアマンダ・プラマー。『パルプ・フィクション』のハニー・バニー。
母に「ブロンディ」のデボラ・ハリー。ちょっとフェイ・ダナウェイに似てた。劇中でジョーン・クロフォードの映画を見るシーンがあったせいかな。車の中での誕生日にまつわる会話。悲しい人生だったのだろうか。もう顔に出ていた。
お父さんにはアルフレッド・モリーナ。刑務所の面会のシーンがよかった。
リーにマーク・ラファロ。こういう作品でも存在感を出せる。この辺りから活躍目立ってきたよね。
お隣りに引越してきた看護婦のアン。ショートカットの美人。彼女レオノール・ワトリングというスペイン出身の女優。ビガス・ルナやペドロ・アルモドバル作品で注目されたみたい。
カナダ・スペインの合作だが、とにかく役者の質、層の厚みを感じた。