ゆずきよ

父親たちの星条旗のゆずきよのレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
5.0
直接は関係の無い時期なのだけれど戦争の話題となるとこの季節に観たくなる映画の一つ。
多くは語らずと思うのが無理なほど好きな映画のひとつです。

物語は、有名な1枚の星条旗を掲げる写真。そこに写る若者達を息子の視点や関係者の回想から描く。
何処にでもいそうな平凡な青年達がわけもわからないまま戦場に駆り出され必死に命を繋ごうとする。
これが数十年前まで当たり前に行われていて、今も世界の何処かで存在する事実だなんて驚きます。
戦場のシーンはそれほど多く無くメインは彼等が写真により有名となった事で帰国した後。
祭り上げられてアイコンにされ違和感に葛藤しながら生きる場面は本当に心が締め付けられます。
何も知らない国民は彼等を英雄だと謳いある種の偶像として崇拝します。
そうしなければいけない時代だったのかもね。
だとしても旗を立てるシーンを模ったケーキ?にイチゴのソースはセンスなさ過ぎ。
映画の中盤に旗を立てるシーンを持ってくる演出が実にイーストウッド監督らしくて本当にもう…好きです。
普通はラストシーンでもおかしく無いからね。
その注目のラストシーンはこれまたイーストウッド監督らしくて何を言いたいのかが凄い伝わってきて…本当にもう…良すぎ。

戦争は誰も幸せにならない。
でも無くなる事は無い。
それを体現している映画だと思います。
昔戦争を経験した人の話を聞く機会がありましたがその人の言葉が今でも心に強く残っています。
「人に言うような事じゃねぇ。そんな事をべらべら喋るのは本物を知らないだけだ」
その人も今はもう亡くなってしまって本物を知る人が少ない中でこの映画は全部が真実では無いかも知れないけれど貴重な教材だと思います。
更にこの映画だけ観たらわからない側面を別のサイドで表現する所が凄い。
明日はもうわかりますね。アレを観ます。
ゆずきよ

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