菩薩

愛の奇跡/ア・チャイルド・イズ・ウェイティングの菩薩のレビュー・感想・評価

3.4
この邦題から醸し出される「愛は地球を救う」感が更にカサヴェテスの意志を削いでいる様な気がするが、そんな御涙頂戴自称社会派作品に相反するカサヴェテスの大きな器が時折芽を出すのを見つけられるのも嬉しい。出来る・出来ないの尺度に当てはめてしまえば行くつくところは生産性でありあの様なとんでも台詞が飛び出る訳だし、現実世界でもあの様な凶行が行われるのであって、そうでなく「ありのままを受け入れる」姿勢と、個人が目を背けた現実に社会としてどう向き合っていくかが、一方的に不幸や幸福を押し付けられた人間を救う結果に繋がる。そもそも人間なんて大した事ないぜ?なんて大らかさも片意地張りすぎの人類には強烈なカウンターになる。商業主義と決別していく過程に留まらず、普遍的な「自由」に対する苦悩と問いかけは現代にも通用する。
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