イチロヲ

鮮血の美学のイチロヲのレビュー・感想・評価

鮮血の美学(1972年製作の映画)
4.0
少女への強姦殺害に手を染めた猟奇犯罪グループが、偶然にも被害者の両親宅を訪ねてしまう。ベルイマン監督「処女の泉」をリライトしている、バイオレンス・ホラー。ウェス・クレイヴン初監督作品。

ラブ&ピースな音楽とチープなアナログシンセ音楽を採用することにより、アメリカン・ニューシネマとスプラッターの融合を実現させている作品。脱獄犯を擁する男女4人組グループの生態をメインに据えながら、暴力の連鎖へと落とし込んでいく。

暴力が蔓延る人間社会を憂えている、敬虔なキリスト教徒である両親が、暴力性を表出させていく過程が最大の醍醐味。全方位からプレッシャーをかけられた状態で、無意識的に追い込まれていく犯罪者グループの心理描写も見応えあり。

殺害シーンでは、人体殺傷の直接表現はないけども、細かなカットワークと生々しい鮮血描写で補完させることに成功している。怒髪天を衝いた両親がリベンジを仕掛けるときの「準備段階」が面白く、武器として初使用されるチェーンソーの登場に感涙必至。
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