ストレンジラヴ

雄呂血のストレンジラヴのレビュー・感想・評価

雄呂血(1925年製作の映画)
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「世人…無頼漢と称する者必ずしも真の無頼漢のみに非らず。善良高潔なる人格者と称せらるゝ者必ずしも真の善人のみに非らず」

ジョーカーっすね、これ。言い方悪いけど。
本当に世の中は悪人しかいないし、正直者が馬鹿を見るようにできている。
恐らく自分が今まで観てきた日本映画の中では最古の製作年の作品になるかと思う。
日本映画草創期の作品のため、ところどころ見苦しい場面もあり、お世辞にも上手い撮影と言えるものではない。
しかしそれだけに役者の凄さが光る。やはり外せないのは阪妻、終盤の太刀回りでのワンカットは壮絶だ。
現代ならいくつかのカットを繋いで作り上げるであろう太刀回りを文字通り「カメラを止めるな!」で長回しのまま通しで撮影しているが、動きに全く無駄がない。もちろん迷いもない。
技術が未発達な時代、歯痒さもあっただろうが、その中での先見の明をスジ・ヌケ・ドウサの全てに垣間見た。