Finn

ジェフリー!のFinnのレビュー・感想・評価

ジェフリー!(1995年製作の映画)
3.6
AIDSがまだ不治の病だった90年代。HIV感染を恐れて慎重に生きるジェフリーが魅力的なスティーブに出会うも、HIV陽性だと打ち明けられてしまう…。ジェフリーの苦悩と見つけた答えとは?
同名のブロードウェイ劇を映画化した社会派コメディ作品。

HIV/AIDSを扱った作品って、病に倒れた人と彼らを支える人だったり立ち向かう活動家だったりをメインに描くものがほとんどだから、「感染に怯えるゲイ」を主人公にした本作がとても斬新で、新しい視点で興味深かった。

オリジナルの舞台が公演されていたのが1992〜93年、この映画の公開が95年。まだまだAIDSで多くの人が亡くなっていた時代に、この題材をコメディで描いたのは賛否両論あっただろうなと思う。
確かにコメディタッチで面白おかしく演出してる部分はあるけど、「こういう人は実際いただろうな」と思ったし、この時代の真実を映しているから不謹慎さは一切なかった。

正直、病気だろうと愛し合うことは素晴らしいことだっていうスターリングたちよりも、感染を恐れて誰とも関係を持たない決心をするジェフリーに共感しちゃう。自分も罹りたくないし、愛する人が弱って死んでいくのも見たくないよね…。
でもダリアスが最後に言った、憎むべきは病気であって、病気だからってパーティーは終わらないっていう言葉は胸に響いた。

X-MENシリーズのパトリック・スチュワートのお芝居、さすがだった。どんな役でもリアリティがあるなぁ。
ダリアスはミュージカルCatsに出てたって設定だけど、演じたブライアン・バッドは本当にブロードウェイのCatsでマンカストラップを演じてたってことにビックリ!本作のオリジナル舞台でもダリアス役をやってたみたいだから、当て書きなのかな?

HIV/AIDS関連の作品はたくさん観てるけど、初めての切り口で面白かった。
元が舞台だから、ちょっと戯曲っぽい演出もあるけど、違和感なく観れると思います。
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