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墓場なき野郎どものHKのレビュー・感想・評価

墓場なき野郎ども(1960年製作の映画)
4.0
リノ・ヴァンチュラ(当時41歳)とジャン・ポール・ベルモンド(当時27歳)の初共演作(たぶん)です。『太陽の下の10万ドル』でも共演していますが、その4年前の作品。
『太陽の下~』はコミカルな面もある活劇でしたが、こちらは非情な裏社会を描くフレンチ・ノワールです。

この頃は『太陽の下~』とは違い、ヴァンチュラが主役。
ベルモンドはまだ格下でクレジットも彼女役のサンドラ・ミロに次いで3番手だし、登場するのも映画が始まって30分以上経ってから。
それでも仲間から孤立して警察に追われる子連れギャング(ヴァンチュラ)を助ける若手の一匹オオカミ(ベルモンド)はかなりの儲け役。

原題は“CLASSE TOUS RISQUES”(英タイトルは“Class All Risks”)。
全ての危険の・・・度合い? 仏語も英語もよくわかりませんが、こういう邦題は嫌いではありません。
監督は原作者のジョゼ・ジョバンニも敬愛するというクロード・ソーテ(『夕なぎ』『友情』)。
音楽は『太陽の下~』と同じくジョルジュ・ドルリューでした。

いかにも元暗黒街の住人ジョバンニの世界(脚本にも参加)で、ショッキングな事態が起きようが地味に淡々と犯罪者たちやその家族がリアルに描かれます。
ヴァンチュラが演じる主人公はジョバンニが実際に獄中で一緒だった男がモデルとか。
主人公が小さな我が子2人を連れての逃亡生活というのも珍しいパターンです。

ベルモンドは若いのに仁義に厚くヴァンチュラをしっかりサポートする役でなかなかの好感度。ヴァンチュラとベルモンドのツーショットもたっぷりで双方のファンとしては嬉しい限りです。
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