RYUYA

ユナイテッド93のRYUYAのレビュー・感想・評価

ユナイテッド93(2006年製作の映画)
3.5
ハイジャックされた4機のうち、唯一ワールドトレードセンターに追突しなかった「ユナイテッド93便」の、9月11日のリアルを描く。ビルにはぶつからなかったが墜落し、乗客は全員亡くなってしまったいうことは、当時のニュースで知っていた。だからこそ「現場にいた人の証言がないのに、どうやってこんなリアリティを?」と驚いた。調べてみると、今作は当時の航空関係者や、機内から電話があった遺族らの証言をかき集め、出来うる限りのリアルを追求し、補完し、再現したそう。その過程にグッとくるし、映画制作者の思いに感銘を受けた。

複数の証言者がいる歴史的事件の映画化とかなら、時系列を整理して尺や展開に合わせ削るとこは削る、みたいな作業になると思う。今作の場合はその逆で、空白を埋めていくような途方もない労力が想像できるが、そういった血の滲む作劇こそが映画たる所以って感じがする。素晴らしい魔法ですね。
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