三四郎

戸田家の兄妹の三四郎のレビュー・感想・評価

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)
4.8
明け方、夢を見た。
小津安二郎監督の映画を分析する夢だった。

〜小津安二郎監督の映画は、
「動」と「静」の世界で描かれている。
人間が動きお芝居をしているシーンの合間に、空物ショットすなわち誰もいない何も動くものがない廊下や部屋のショットが挿入される。
その「動」と「静」を繰り返す「流れ」が心地良い為に人はそこに“もののあはれ“を感じる〜

目が覚めて、良い夢を見たなぁと思った!笑
思わず起きて、忘れないようにメモして、また寝た笑
この夢で空物ショットのモデルとして出てきたのが『戸田家の兄妹』のワンショット。
2024.1.27


以下、2017.2.22の感想
これは名作中の名作だ。鑑賞後も感動冷めやらず興奮したまま。
おもしろく、深く、丁寧で勧善懲悪、そして芸術的。なんと言ってもスクリーンから、その構図から、清潔な印象を受ける作品だ。
そして高峰三枝子の美しさが際立っている。本当に清楚で可憐で理知的で…なんとも美しい。飾り気のない純粋な微笑なのだろう。言葉ではなく表情でセリフを語っている。

戦後のGHQの検閲により、佐分利信が坪内美子に平手打ちするシーンとラストの「国民進軍歌」が流れている海辺のシーンが不自然に切られており、そこだけが勿体ない…。

1941年3月1日公開だが、もし、日本がアジア・太平洋戦争を始めなければ、このような名作が続出していたのだろうか。
全く時代を感じさせない、全く時代遅れではない。むしろ戦後の裕福な時代に撮影されたのではないかしらと錯覚してしまう。
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