『地獄の警備員』
製作年 1992年。
上映時間 97分。
黒沢清監督が、1992年に手がけたバイオレンスホラー。
これが映画デビュー作の松重豊が謎めいた凶暴な警備員を演じ、大杉漣、長谷川初範、内藤剛志が共演。
1980年代に生まれた伝説的映画製作会社ディレクターズ・カンパニーの最後期の作品。
とざされたビルという空間の中で、殺人鬼である警備員に襲われる女性社員の恐怖を描く。

警備員として雇われた元力士の富士丸。
彼は過去に殺人を犯しながらも精神鑑定により無罪となっていた。
一方で、絵画取引のために雇われた元学芸員の秋子は忙しい毎日だった。
そんな中、富士丸は同僚を殺害、徐々に狂気をあらわにして行く。。。

今作品し、にっかつロマンポルノとして撮影されたままオクラになっていたものを一般作品として再編集した黒沢清監督の出世作だそうだ。
『おげんさんといっしょ』(NHK総合テレビで2017年から不定期放送されている音楽番組)で重松豊が恥ずかしそうに云ってた作品やし気にはなってた。
日活ロマンポルノ作品として製作され、完成後の再編集により一般映画のレイティング、
"ディレクターズ・カンパニー"作品
として公開された『恥ずかしゼミナール』にしても、今作品にしても善き悪しき別として、コアな作品はマダマダ邦画には埋もれてンのやなぁと感じた作品です。
今作品は、80年代前半のアメリカのスラッシャー映画に対する黒澤監督のオマージュであると映画評論家ぎ以前書いてたのふと思い出した。
これは、脚本家でもある監督に失礼な話やと思う。
今作品が単なるオマージュであるということは、この映画全体に見られる黒澤監督のユニークなスタイルと才能の多くを軽視していると思う。
黒澤は、閉じ込められた従業員でいっぱいのビルで殺人犯が逃亡するという、かなり単純なストーリーを、スタイル的に面白くすることに成功していると個人的には思います。
ユーモアがあり、社会的な批判もあり、また魅力的な死のシーンも1つ以上ある。
しかし、今作品は多くの映画やジャンルのスタイルに触れているのも否めない。
主人公が不慣れな環境に閉じ込められ、威嚇的な巨漢が廊下をうろつくという設定は、古いユニバーサル・ホラー映画、特に『フランケンシュタイン』を起想させた。
もう少し踏み込んで、モノクロで撮れば、今作品はあの時代の映画へのユニークなオマージュになったんちゃうかな。
また、ゆっくりと動く殺人鬼が登場する場面では、ダリオ・アルジェントを彷彿する。
黒澤もアルジェントと同じように、序盤で犯人の正体がわかっていながら、なかなか顔を見せない展開にしてる。
また、ストーカー的な脅威が被害者一人一人に近づいていくときに、手や靴のクローズアップが多く見られる。
しかし、アルジェントとは異るとこは、生々しい暴力は比較的少なく、ほとんどの殺人は、凶暴な生き物が犠牲者を棍棒で殴り殺すというもの。
例外は、ロッカーが登場するユニークなシーン。私は独創的だと思ったので、ネタバレにならないよう、ロッカーがどのように使われるのか、正確な内容は明かさないことにしやす。
黒澤清のファンなら、今作品を評価し、彼の初期の主流作品を見て楽しむことができると思います。
黒澤清は、どんなジャンルや題材であっても、常に何か面白いものを提示してくれる稀有な映画監督と云える。
今作品は彼の最高傑作ではないけど、才能ある監督がかなり単純なストーリーで何を達成できるかを示すもう一つの例であることは間違いない。
個人的には面白かった。

　成島秋子（久野真紀子）は商社に就職し、絵画取引部門で働き始めることが決まっていたが出社初日、タクシーが渋滞に巻き込まれまったく動かない。タクシー運転手（下元史朗）は朝から薄気味悪いジョークをかましながら、成島を引き留めるが、我慢出来なくなった彼女は歩いて会社へ向かう。急成長を遂げる総合商社・曙商事に2人の新入りがやって来る。ひとりは絵画取引のために新設された12課に配属された元学芸員の成島秋子。もうひとりは驚くほど巨体の警備員・富士丸（松重豊）。元力士である富士丸は、かつて兄弟子とその愛人を殺害しながらも精神鑑定の結果、無罪となったいわくつきの男だった。会社前、警備員の間宮（田辺博之）に引き留められた秋子は彼に名簿用の証明写真を渡す。だが後ろには不気味なバンが見える。新設された12課は心底嫌味な久留米浩一（大杉蓮）の元、吉岡実（諏訪太朗）や野々村敬（緒形幹太）、高田花枝（由良宜子）に秋子を併せた合計5名しかいなかった。元学芸員で絵画に精通している秋子は会社のために進言するが、意固地な久留米は彼女の言うことを聞こうとしない。絵画バイヤーの仕事で会社のお荷物である12課を尻目に、やり手のバイヤーで一匹狼の兵藤哲朗（長谷川初範）は今日も留守電を残し、居留守を決め込む。

　末期のディレクターズ・カンパニー内部においても、制作会議は盛んに行われていた。そこで黒沢は元相撲取りの警備員が、あるビルの中で殺戮を繰り返すという異色のホラー映画を会議にかける。これは『スウィート・ホーム』の制作断念を踏まえ、黒沢が考えた苦肉の策だった。その企画に真っ先に反応したのは、ディレクターズ・カンパニー内部では根岸吉太郎だった。ちょんまげを結った警備員が殺人鬼になるというアイデアを面白がり、アテネ・フランセ文化センターの出資により、低予算である今作の撮影にこぎつけたのだった。こうして様々な紆余曲折を経て、ようやくクランクインに漕ぎ着けた今作には、黒沢のホラー映画への純粋無垢な思いが充満している。セザンヌの『ひび割れた家』の歪な造形、久留米のインシュリン注射を見せびらかす場面に現れた換気扇はトビー・フーパーへの無邪気なオマージュに他ならない。ロッカーから溢れ出す真っ赤な鮮血、深夜に撮ったディレクターズ・カンパニーのビルの明かり、給湯室にかけられた半透明カーテン、真っ赤な血に染まったイヤリング、そして吉岡実のラスト・ミニッツ・レスキュー。無邪気にアメリカ映画を再定義する黒沢清の試みは、編集前にジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターを観たことで混乱し、富士丸のキャラクターは妙に哲学的な言葉を吐く。「それを理解するには勇気がいるぞ」と呟く富士丸の意味深長な言葉は、『カリスマ』の「世界の法則を回復せよ」とほとんど同音異義語のようにも聞こえて来る。

『92年の邦画的な殺人鬼は松重豊👹』
そして、松重豊の劇場版デビュー作🎊
バブル崩壊後の時代にこの暗さは… 😁
テンポは悪くないけど画面が暗い〜😅
次から次に殺しまくる謎の凶警備員😱
脚本サイコでタイトルが時代感じる😁
孤独のグルメの井之頭五郎が殺人鬼😆
「あ〜腹減った」のサラリーマンの前職は「あ〜血が欲しい」の警備員だったの巻😁
【簡単STORY】
バブル景気で急成長を遂げた総合商社に、絵画取引担当の秋子と大柄の警備員の富士丸という2人の新人が入社した。元力士の富士丸は兄弟子とその愛人を殺害したが、精神鑑定の結果無罪となった要注意人物だ。秋子が慣れない仕事に追われる一方で、警備室では惨劇の幕が始まっていた😱大杉漣、長谷川初範、内藤剛志の共演で意外と豪華👍でも内容は、脚本に工夫もなく、ただ殺しまくるだけで結末もあまり好みではない😅