ロンビュー

突然炎のごとくのロンビューのレビュー・感想・評価

突然炎のごとく(1961年製作の映画)
3.2
友情と恋愛と理性の三角関係

ジュールは基本的に誰かに依存して生きていると感じた。カトリーヌに深く依存し、ジムとの関係も崩せないまま不埒で淫らな関係を傷つきながらも黙認していた。それを詩にする程なのでもはや変態。この映画で一番人間らしいのはジムだと感じた。カトリーヌに振り回されながらも浮気されたら別れ、その後も度々会い、本当にジルベルトが不憫でたまらない。

この映画で一番味わい深い人物はダントツでカトリーヌだと感じた。彼女は2人の男性を振り回しながら、自分の衝動のままに動き、そして自分のこだわりがとてつもなく強い。自分の体を誰かに与えたくなるという告白とワインの銘柄を一心不乱に連呼するシーンは正に自分のこだわりが爆発した場面だろう。ジャンヌ・モローの役に入り込んだ演技は素晴らしく、ジムに振られ暴れだした場面は正に熱演。

失ったものを愛しいと思い、手に入れたものを鬱陶しいと感じる。この相反するが人間に確かに備わっている感情を表した映画だととれます。そして、トリュフォーはこの原作を読んだ時この感情にカタルシスを感じ、映画化したんでしょう。そう考えると趣深い。

それでも、終わり方は好きじゃないけれど。
ロンビュー

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