2023.8.2 40-123
2020年のNHKbs4k放送。
これもまた最高。イタリアの街での物語とも言えないお話。多様でエネルギッシュな市井の人々の群像劇とも取れない、生きた彼らの姿が映し出される。春とともに生命的な息吹を伝える綿毛が舞うところから始まり、雪が降り葬式を経て、また綿毛が飛ぶ季節に結婚式をして幕切れ。最後のショットはどこまで地平が広がっているように思える平野のなかで、市井の人々がまた同じように賑やかな日常を送る人々を遠景から映し出す。素晴らしいショットだ。フェリーニのどこか狂気めいた人々の狂乱めいたパレード。これが日常から地続きなところがおもしろい。生命的なものは、狂乱めいている。しかし、それはネガティブな意味ではない。あの街、そこに生きる人々はおかしなほどにエネルギッシュなのだ。それが本当に良い。
あと、よかったのはたばこ屋の女店主を持ち上げるシーン。揺れる吊り下げランプに照らされて、壁に映し出された女店主の影が、ランプの揺れにともなって大きくなるシーンは、声が出た。すごい好き。
