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ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のshinoのレビュー・感想・評価

4.6
"自分のすることを愛せ"

映画館でステキなシーンにめぐり逢ったとき、今みんなどんな表情してるのかなって、スクリーン側からふと覗きたくなったりしませんか…?

シチリア島の小さな村の、みんなの憩いの映画館"パラダイス"
大人から子どもまで、みんなが映画に魅了され愛してやまなかった時代。
スクリーンにひと際キラキラした目を向けるサルバトーレ(トト)が大好きなのは、映写技師アルフレードのいる写映室。
好きなことに夢中だったチビッコ期から、認められない恋にもがいた思春期、そして歳を重ねて故郷に戻るトトの、映画にかけた人生の一部始終。

ながーいオリジナル版!約1時間も劇場版ではどこがカットされちゃってるの?!ってくらい、私にとっては全部全部大事なシーン。

師匠と弟子であり…父と子であり…そして映画を愛する親友どうしだったトトとアルフレードの二人。
頑固おやじと素直な子どもの設定には本当に弱い…

神父の校閲で切り取られた無数のキスシーンフィルム…壁に貼られた保証書とスターたちのポスター…ライオンの口から放たれる魔法の映像…
なんてことないものが、好きになってしまうとどうしてあんなにも煌めくのか。

生きていると自分の大切なものや場所がどんどん膨らんでいって、時にそれが永遠ではないと気づかされて苦しくもなるけれど。
それはしっかり自分の"いま"に刻まれていて、なくなるものではないんだと。
いつもそこにあって、自分のすぐそばにふんわり寄り添ってくれているんだと。いつも故郷は優しく教えてくれる気がします。

厳しく突き放したアルフレードとそれに従ったトト。理由を聞かず、息子を信じた母。夢を掴むって生半可な気持ちじゃダメなのか。

愛のこもった最期の贈り物に、少年の頃と変わらない瞳をスクリーンに向けた、トトの澄みきった涙。
映画に限らず、何かに信念を貫いた人たちは強くて尊い。

余談だけど、青年期のトトと恋人のエレナが、大きなアロエをお皿にして畑でサラダをぱくぱく食べるデートシーンが好きすぎました。笑

やっと見れて幸せ♡な名作でした。
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