あーさん

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のあーさんのレビュー・感想・評価

5.0
人生とは何たるかを私に教えてくれた作品。
映画と音楽の素晴らしさを知らしめてくれた作品。そして、愛とは何か?
恋愛だけではない愛を沢山見せてくれた作品。

思い出すだけでも泣けてきてしまう、エンニオ・モリコーネのテーマ。。

2020.7.6
映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネが亡くなった。享年91歳。

心から、ありがとうと言いたい。
あなたは、心の灯火だった。。

亡くなっても、あなたの残した音楽は無くならない。

ご冥福をお祈りします🍀



以下、前に書いたレビューになります。
いいね!&コメントして下さった方、すみません🙇‍♀️

シチリアの小さな村に住む主人公サルヴァトーレ。当時村で唯一の娯楽だった映画を通して映写技師アルフレードと出会い、学び、そして一生に一度の恋に焦がれた日々。。
その後、村を出てそれなりにステイタスを得たサルヴァトーレ(ジャック・ペラン)だったが、訳あって30年ぶりに帰郷する。
懐かしさに胸を揺さぶられ、別れの日の真実を知った彼は、それぞれの人を想う優しさに気づくのだった…。

劇場版(約2時間)は昔々に観ていて大好きな一本。オリジナル完全版(約3時間)を観るのは初めて。

ああ、やっぱり素晴らしい!!
泣ける映画、なんていう言い方はあまり好きではないが、最初から最後までずっと泣いていたような気がする。。

まず、、
見事に心の琴線を突いてくる
エンニオ・モリコーネの音楽。
もう反射、というくらいにテーマ曲を聴くと懐かしくて切なくて、心が震える。

そして幼少の頃のトト(主人公サルヴァトーレの愛称)がとにかくかわいらしい。イタリア映画は特に子役に定評があるが、トト役のサルヴァトーレ・カシオも例に漏れず。
居眠りをするトト
ウィンクをするトト
叱られてママに叩かれるトト
カーテンの隙間から
映画を覗き見るトト…
トトの魅力が炸裂!

青年時代のサルヴァトーレ(マルコ・レオナルディ)を見ているとエレナ(アニェーゼ・ナーノ)への一途な愛がこの年頃特有の真っ直ぐさ、不器用さ、健気さに溢れていて、遠い昔に置いてきた甘酸っぱい思い出の箱を開けたような気持ちになってしまう。。
好きな人と目も合わせられない、まともに喋れないとか、こんな風に見つめ合ったり笑い合ったりとか、初めて手を繋ぐ時のドキドキ感だったりキスをするタイミングにドギマギ…なんて今ではどこ行った?みたいな初々しい気持ちで胸の中がいっぱいになる。
サルヴァトーレが好きになるエレナが本当に美しくて。この年代の女の子って本当にキラキラしている!そりゃあ、恋に落ちるよね。
ああ、この二人は本当に愛し合っているんだな、とわかる青春ど真ん中なシーンでは終始ニヤニヤ笑

戦争から帰らぬ父に代わってトトの父親のような役割をしてくれたのがアルフレード(フィリップ・ノワレ)。結婚しているが子どものいない彼がサルヴァトーレを思う気持ちは…父のようであり祖父のようであり、親友のようであり。。「兵士と王女の話」は心の奥深くにじーんと染み込む。

後半サルヴァトーレと母親が、二人で昔のことを語り合うシーンがある。多分これは、劇場版にはなかったはず…(忘れているだけかもしれないが)。
とても大切にしたい、大好きなシーン。
イタリアの母と言えば、ファミリーを束ねているイメージがあるけれど、やっぱり器が大きい!娘がそばにいるとはいえ、30年間も帰郷しなかった息子に果たして同じことを言えるだろうか…?
戦争の傷跡を抱えながら、寡婦としてひたむきに前向きに家族の為だけに生きてきた母親の姿を目にして、私は人生の深さを思い知った。
大きな事は何も成さなくても、どれだけ人を深く愛したか…人生の満足度はそこにあるのではないかと思った。

アルフレードの愛、
母の愛、
エレナとの愛、
映画への愛、
地元への愛、
隣人への愛…

人が成長していく中で
注がれる愛、育む愛、
そっと手渡す愛、、

それらの全てがサルヴァトーレの、私の、あなたの物語。

ああ、人を愛することこそが人生なのだと思う。

たとえ何もできなくなっても、人を愛することは忘れない自分でいたい。。
あーさん

あーさん