ほ

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のほのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

これ以上はない。
幾度目かの観賞。幼い頃から観ているだけあって、好きなものの原点のような映画。

想い合いの話だった。
アルフレードはトトを想い続けていたし、母もトトを想い続けてた。

家屋に映画を映してみんなに観せる。
懺悔室での彼女との会話。
8ミリフィルムで捉えた彼女、そこに宿る恋する眼差し。
ゆらめき明滅する街頭と車内のふたり。
ハイセンスなシーケンスたち。

今の僕にとっては、やっぱりエレナと再会して車の中で話すシーンが印象的だった。彼女は別に何も求めてない。直後のシーンの「あるのは過去だけ」という言葉が全てを物語っている。ただ今、その過去の解釈を変えられる出来事が起きた。それは夢のようなことなのだ。きっと愛したからこそ恨みたくない人のことを恨むことや、後ろめたさを感じることもあっただろう。でもそれを自身の中で消化して、前に進んだ。だから彼女は最初に断ったのだ。でも、それでも会いに来るのは、ちゃんと想っていたのだろうと僕は捉えた。なぜなら彼女は、「あなたの映画、全部観てるのよ」と言ったのだ。全部無かったことにして前進していたわけではないのだ。それだけでトトにとっては救いになるはずだ(僕はそこで大号泣した)。しかしながら、やはり男というものは執着するというか、諦めが悪い。その後の彼の、「まだ僕ら一緒にいられるはずだ」と将来の話をしようとする強引な様子が印象的だった(もちろんそれはとてもわかる)。

ラストシーンの解釈はなんだろう。
今まで切り捨ててきたものを集め直し、それを慈しむことを示しているのかなと感じた。それはきらびやかに、光続けている。間違ってないよ、それはそのままそこにあるよと、人生を肯定するような。祝福するような。
ほ