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地の群れのkenbowbowのレビュー・感想・評価

地の群れ(1970年製作の映画)
4.0
何とも精神的にエグい、1970年の作品。

モノクロでなければ直視できないシーン多数。
むしろ白黒のほうが胸に刺さる、現代では到底考えられない物語。

長崎での被爆、部落差別、差別と暴力の応酬。
戦後、被爆者が差別を受けていたことはなんとなく知っていたが、ここまで直接的に描いた作品は珍しいのではないか。

原爆投下したアメリカが、どんな大義を語ろうと、「オッペンハイマー」で様々な議論が渦巻かれようと、この原爆落とされた現実は打ち消されることはない。他の戦災とは同じレベルで語ってはいけない。

ウクライナの映画で、制作年代は全く違う「異端の鳥」というモノクロ映画がある。
戦争で悲惨な状況におかれる少年の話だが、今作と同じく、モノクロで作られる方が観る者に、余計にインパクトを与える。「シンドラーのリスト」も同じだ。

これは、太平洋戦争とその後の日本の闇を後世に伝える、貴重な教材にすべきだ。
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