テオブロマ

プリンセスと魔法のキスのテオブロマのレビュー・感想・評価

プリンセスと魔法のキス(2009年製作の映画)
3.8
音楽も映像もテーマもとてもよかった。初の黒人プリンセスものということしか知らなかったので、冒頭から人種による格差をはっきり見せてくる点に驚いた。現実に存在した格差や差別をないものとして描いた過去(南部の唄)を省みて、ディズニーのファンタジーとして許されるギリギリまで描いたんだろうなと感じる。

ティアナとシャーロットは友達だがその親は雇用する側とされる側である、シャーロットは父の財力に物を言わせて夢に近づくがティアナの父は働き詰めでも夢を叶えられなかった上すでに故人である(おそらく戦死)、ドレスアップしたシャーロットが踊ってる間ティアナは働いている、などなど格差がエグい。

ティアナは星に願っても無意味、夢は努力して自分の力で叶える、特に王子様を求めてはいないなどとても現実的で親近感が湧く。シャーロットもシャーロットで、ステレオタイプな金髪女性で悪意なくティアナを追い詰める役なのかと思いきや、最後まで友達思いないい子だった。格差のある2人だけどちゃんと大切に思い合う友人なのがいい。

ナヴィーンはチャラい性格がダメだけど、これまでのディズニープリンスだって大抵は父親が国王だから自動的にプリンスになっただけであり、たぶん家事とか労働とか何もできないのであろうことを思えば、特別にダメなプリンスとも言えない気がする。シンデレラの王子とかはガチで何もしてないし。自分が何もできないことを理解しているし、最終的には勇敢に敵に立ち向かったりティアナのためにシャーロットと交渉したりするし、お店もしっかりやっていけそう。

ひたすら優しいレイとか、本来の姿のまま夢を叶えたルイスも好き。ファシリエはハイリスクなヴードゥーなんかじゃなくダンスと歌で堅実に生きていけば…と思ったけど堅実に生きるタイプではなさそうだから仕方ない。

これ以降ディズニーアニメは3DCGのみに変わっていくけど、やはり2Dならではの良さというのはあるし、この作品を2Dで見られて良かったなあと思う。
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