カラン

フィラデルフィアのカランのレビュー・感想・評価

フィラデルフィア(1993年製作の映画)
4.5
エイズに罹った弁護士(トム・ハンクス)が差別的に解雇されて、弁護士事務所に訴訟を起こす。名前を売りたいお調子者だが熱いところがある弁護士(デンゼル・ワシントン)が弁護を引き受ける。ホモセクシャルの問題も絡み、一方に病と性という極があり、もう一方にある仕事と家族と仲間たちという極が対立する。

映画の話を作るためにプロデューサーが聞き込み調査を行った実話があるようで、映画会社との訴訟にまでエスカレートしたらしい。


☆クロースアップ

ジョナサン・デミが『羊たちの沈黙』(1990)の次に撮った。クロースアップの映画。『クライシス・オブ・アメリカ』(2004)よりも、ずっとストレートな撮影でエモーションを伝える。2人の弁護士だけでなく、たくさんの人物をここぞというところで丁寧にクロースアップ。昨日の夜観たのだが、まだ顔が浮かんでくる。説明的ではないので、意味解釈で抑圧されない。言葉を超えたクロースアップなのだ。

裁判の映画であるのに、言葉の彼方の次元を感じさせる映画だった。映画を愛する人は言語的でないが故に少し遅れてやってくるエモーションを存分に汲みとるだろう。

シーンの繋ぎに変なことをするのだが、あれは余計なんじゃないかと。シーンの切り方も次のシーンの選択もよいのだから、いらんことしているように思えた。
カラン

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