カラン

タワーリング・インフェルノのカランのレビュー・感想・評価

3.5
135階建の最新鋭の超高層ビルが、火災にならない設計なのに、火災になる。ポール・ニューマンが設計士で、スティーブ・マックイーンが消防隊の隊長。


2大スターを配した1974年の本作の予算が、1400万ドルというのはにわかに信じ難い。サンフランシスコにそびえ立つ「グラスタワー」は、138階まで全灯すると夜空にまで黄金の光を煌々と発するスカイスクレイパーなのであり、爆発して火が出ると、中層でも梯子ではなくヘリコプターで救出に行かねばならない。興収は2億300万ドルである!

1991年の『バックドラフト』の予算はなかなかのもので4000万ドルであった。同じく火災を扱った映画であるが、こちらは全員が消防隊なので、火と戦う以外には映画を展開できない。だから、最後にいくらか大物の火災が起こるが、何箇所もの火災現場を提示し続けて、飽きる。『タワーリング・インフェルノ』は消防隊とは別に設計士がいるので、火災との戦い以外に設計と施工の対立もストーリーとして展開される。また、超高層ビルなので一所で大規模な災厄をじっくり煮詰められる。『バックドラフト』の興収は1億5200万ドルだった。

『タワーリング・インフェルノ』の予算はどうしてこんなに抑えられたのか?ミニチュアである。これをうまく撮影したからである。したがって、ディティールは『バックドラフト』の勝ちである。実際、火炎そのもののクロースアップなどをふんだんに盛り込んでいる。そこは立派であった。『タワーリング・インフェルノ』と『バックドラフト』を両方盛り込んだら、1億ドルの予算の『オッペンハイマー』になるのかな。(^^)

何の関係もないが、『エクソシスト』(1973)の予算と興収を知ったら、『タワーリング・インフェルノ』の成功は霞んでしまうだろう。予算が1200万ドルで、興収は4億4100万ドル!

さらに、関係ない話を続けるが『燃えよドラゴン』(1973)など、ここまでの話全てを覆す驚愕の予算85万ドルで、興収4億ドルである。


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