20歳の頃からジーナ&カサヴェテスのファンなんですが、やっと今作を観れました。ここのところ映画を観る集中力が起きずにいたのだけど、思いきって初のStrangerに行ってよかった。遠かったけど。前置きが長くなりました。

結婚三部作の3作目。最初はいつもの危うい精神性を描いているのかと思いきや、なんとラブコメ！精神的に追い込まれていくのは他の作品と同じだけれど、すごく明るい方向にシフトして締めくくるので印象はハッピーです。

大好きなジーナとこれまた大好きなシーモア・カッセルによるラブコメなんで無条件でテンションが上がりました。

↓以下ネタバレ含みます。








美術館に務めるミニー（ジーナ）と駐車場の案内係のモスコウィッツ（シーモア・カッセル）、境遇がまるで違う二人が出会って育んだ4日間の恋。

出会いのきっかけとなるのは、冴えないオジサンと渋々ランチをするはめになるミニーが、オジサンのズレた話を延々と聞かされ嫌気がさしているのにも関わらず、執拗に追いかけられる。そこを救うのがモスコウィッツ。そのオジサンとの対話でミニーがどういう人かがわかる面白いシーンだった。

モスコウィッツもまた執拗にミニーを追うが、なぜか二人は結ばれる。ミニーは美しい上に主体性が弱いから、モテるし、つけ込まれる。不倫体質で孤独でもあり、不安定さを感じる。結婚でそれが払拭できるのか？

ミニーと男性たちとの狂気じみたやりとりは他の作品とも繋がるのだけど、今作は楽しくて笑えます。カサヴェテスがミニーの不倫相手でイヤな役を演じてるのも効いてる。

今まで観たジーナの中で1番キュートで鼻血出ちゃうし、大きなサングラスが最高！そして、ロン毛にヒゲのシーモア・カッセルは、持ち前のユーモアが存分に活かされていて、やたら強引で騒々しいんだけど微笑ましい。

お互いのママたち（カサヴェテスとジーナの実母だと思われる）がコメディエンヌっぷりを発揮してるのも楽しい。多幸感のあるピンクなラストシーンはやり過ぎてて笑っちゃうけど、逆にカサヴェテスのシニカルさを感じる。

結婚へのプロセスなんてどうでもいいよねとばかりにぶった斬る後半の編集とラスト。そこに至るまでの精神のうねりこそが人間なんだと生身の人間の対話を見せつけるカサヴェテス、やっぱり好きです。コメディという形を取ってはいるけど本質はいつもと一緒。

会場から終始笑いが起こり、最初は声がうるさくて気になったのだけど、こんな雰囲気も劇場ならではだなと思い、いい空気を共有しました。


✴︎レインウォッチャーさん、ありがとうございました✴︎

• #カサヴェテス！

超スピード婚の映画。
ひょんなことから出会い最初の印象は最悪。けど男の方が一目惚れしていて…みたいな流れ。

良いですか！皆さん！
勢いで結婚しても良い事ありませんよ！！

まぁ、僕の意見は端っこに置いといてこの映画にはホットドッグがよく出てくるんですね。
当たり前ですけど今日僕はホットドッグを買いにいきました。
けどね、ファミマのホットドッグなもんで…お店で注文してボリュームのあるそして熱々のが食べたかったってのがこの映画を観た感想です。

最後にもう一度言わせていただきます。
良いですか！皆さん！
勢いで結婚しても良い事ありませんよ！！

ミッドライフ・クライシス図鑑…とでも言うのだろうか。

第二の思春期とも呼ばれる壮年～中年期を拗らせ散らかしている人々が次々登場。ミニーもまたその一人で、G・ローランズが演じる安定の情緒不安定レディだ。当然、サングラスはデカい。
そんな彼女と偶々出会い、どうやら惚れてしまった直情男シーモア・モスコウィッツ（S・カッセル）は、「そんなもん知るかボケー！」とばかりに彼女の生活をかき乱す。

ジョン・カサヴェテス作品の中では、明確に「笑える」作品ではないだろうか。ある程度お馴染みの苦味エグ味（※1）に対する免疫ができた（慣れた）からかもしれないし、もちろん笑えるといっても、イバラ畑に垂直落下した後みたいな擦り傷切り傷だらけではあるのだけれど。

ミニーやシーモアを含む、今作のクセが強い登場人物たちを見ていてあらためて気付かされるのは、一口に《ミッドライフ・クライシス（中年の危機）》とか言っても、その年代に突如として発症するものではないということ。それまでの人生で蓄積されてきた非・成功体験というか、適切に飽きたり解決したりできず煮こごりみたいになったイベントが、徐々に潤滑剤が干上がったために表面化する。

当たり前のことながら、だからこそ根深いものがあるのだろう。今作では特に恋愛（男女）関係に関わるアレコレにスポットを当てている分、わかり易くなっている。
拳の振りおろし先を見失って、半ばミソジニー的なやり切れなさを抱えた男たち、彼らの醜態にはドン引きし笑ってしまう（しかない）けれど、やはりどこか切ない。それは、彼らの半生を想像させる映画としての強度でもある。（※2）

それでも今作がどうにか「笑える」のは、ミニーとシーモアの関係に一抹の希望が見えるからに他ならない。
2人はそれぞれ違ったタイプのつまづき方をしていて、文化・経済的な生活圏も、年代（※3）も異なる。たった数夜のうちに、希望と失望の乱高下を経験し満身創痍の2人。しかし、1人で生きるにはあまりに人生は長すぎる…という孤独（と、ハンフリー・ボガート）こそが、かろうじて彼らを結びつける。

振り上げてぶるぶる震える拳に行き先があるとすれば、それはやはり抱きしめることだけなのかもしれない。
" 良い夜だったわよね？" ミニーが願うように問う細い声に、いつか目を閉じる前に答えられたら良いな。

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映画館Strangerの『カサヴェテス特集』にて。
https://stranger.jp/movie/1615/

取り逃した特集系上映を拾ってくれる、シアンブルーが素敵な映画館。独自の《ご近所割引》あり。シートふかふか。カフェのハンバーガーがおいしい。好き。

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※1：室内の深い影、顔付近のアップの多用、そして「階段」…といったカサヴェテス節は今作でも健在。しかし、急にバサッと切ったような場面転換とその後に続くシーンの見せ方には、結構ベタめなユーモアも散見される。
シーモアは" 面白いと自負している男なんて最悪、自然な間こそが面白いのに "なんて言う。カサヴェテスのマナーの一端を感じてみたり。

※2：どことなく、かつて松本人志がやっていた『働くおっさん劇場』みたいなテイストもある気がする。

※3：はじめコッカースパニエルみたいなヒゲをたくわえているためわかりにくいのだけれど、シーモアのほうがいくらか若い設定。当時の実年齢も、G・ローランズ40過ぎ、S・カッセル30代半ば。

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